254.謎の一団と山越えの最終調整

「この町にも少しは慣れたようだな」

「まあねー! ちょっと武器が使いにくいけど、なんとかなっているわ」

【我々、最強のコンビなので!】


 このドワーフの町に来てから一週間が過ぎた。

 もう見慣れた受付のドルブさんもフッと笑いながら依頼票を受け付けてくれる。

 

「お、今からか?」

「そうそう! 今日も適当に倒してくるわ!」

「無茶すんなよ……っつってもロックトタースを二人で倒せるから心配はいらんか」

【ふっふっふ、このレスバちゃんにかかればどんな相手もイチコロですからね】

「調子に乗ると痛い目を見るぞお前……」


 まだ短い期間だけどドワーフさん達ともそれなりに顔見知りになれた。

 女の子二人で魔物討伐をサクサクやるのが珍しいらしい。ドワーフの女性も強いけど、冒険者になる人は少ないのだとか。

 ソアラも女の子だし、あたし達は女の子同士協力してやっていこうと結束。一日二件の依頼をするなどしてお金も貯まっている。

 そんな調子で今日も討伐と薬草採取に出発した。


「どっせーい!」

【オールライト、オールライト! せい!】

「ぶふぉ……!」


 さて、あたしは今日の獲物であるイリーガルフォックスを大剣で打ち上げ、落下地点で待っていたレスバがトドメを刺す。少し数が多くなっている毛皮にもなる狐型魔物を二頭討ち取ることに成功した。


「さて、これで金貨二枚か」

【ですね。毛皮が別で換金対象なので売ればもう少しお金が入るかと。ドルブさんはこういうのきっちりしているので助かります】

「そうね。とりあえずこれで金貨十六枚……テントは買ったし、調理器具も必要最低限は購入したしそろそろかしら?」

【行きますか。槍はどうします? 今なら買えそうですけど】


 レスバが地面に穴を掘って血抜きを始めながら尋ねてきた。

 とりあえず槍は使いやすいけど、今はこの剣でもなんとかなっているので無駄遣いをしないでいこうと決めた。

 食料とロカリス国の王都まではかなり先になりそうだから宿賃とかも残しておきたい。


「今はいいわ。この剣が壊れてから考えましょ」

【そうですか? まあ、お金は持っていた方がいいですし、わたし達は急ぎですもんね。……よし、これで持って帰れますよ!】

「ありがと♪ それじゃ町へ戻りましょうか」

【はーい】


 あたしは二頭を荷台に載せる手伝いをする。その間にレスバは御者台に乗り、あたしが合図をするとそのまま出発した。森から街道へ出ると後は道なりで、魔物もそこまで遭遇することも無い。なので少しの警戒で大丈夫だったりする。


【明日は買い出しにしますかねー】

「そうしよっか。服も欲しいけど、キレイにしておけばいいよね」

【貴族やカナの世界みたいにオシャレはあまり必要ありませんから。それに王族と知り合いならいい服もらえそうじゃないですか】

「それもそう……ん? 前に馬車?」

【なんだか豪華ですね……?】


 街道に乗ってしばらく雑談をしながら進んでいると、前にゆっくりと進んでいる馬車を見つけた。レスバの言う通り馬車は豪華で、単体の馬に乗っている騎士みたいな人もたくさん居るようだ。


「なにかしら?」

【貴族とかっぽいですけどなんでしょうね。面倒くさいことに巻き込まれるのはごめんなのでゆっくりついていきますよ】

「任せるわ」


 あたしも同じ考えだったのでもちろん同意する。騎士らしき人も多いし、横を抜けるのも難しいからね。

 同じ方向みたいなので少し離れた距離をキープしてついていく感じだ。


「貴族だとしたらどこへ行くのかしら?」

【うーん、視察とかですかね? 税の徴収とかで現地へいくパターンもありますよ】


 なるほど、なんか漫画で見たことある気がする。となるとあたし達がお世話になっている町なのかな? そう思って前を見ていると、単体の馬に乗っている騎士が速度を緩めてあたし達が追いついた。


「こんにちは」

【どうも】

「こんにちは。君達は冒険者か」


 先にあたし達が挨拶をすると、並んできた騎士さんは微笑みながら返してきた。質問に対して頷くと、騎士さんも納得したのかこちらの荷台を見て頷いていた。


「失礼ですけど、護衛している馬車って貴族の方が乗っているんですか?」

「ああ、その通りだ。一応、警告をしにきた形だが距離をとっていたし大丈夫そうだな」

【その辺りは心得ていますよ! わたし達はこの先にある町に戻るのですが、同じところですか?】

「まあ……今日はそこだな。では、このままを維持して進んでくれ」

「?」

【承知しました】


 顔が濃いのでドワーフの騎士みたいね。多分まだ若いんだろうなと思われるその彼が歯切れの悪い感じの説明をして隊列へ戻って行った。

 あたしは意味がわからなかったのでとりあえず首を傾げて背中を見ていた。


【やっぱり町みたいですけど、とりあえず一泊するって感じですかね】

「まあ、興味ないからいいけどさ」


 こっちに敵意が無いことが分かればいい。リクじゃないけど、現地人と関わる必要が無ければスルーがいい。

 騎士さんがなにか馬車の荷台にある窓に話しかけていたのでこれ以上はもう終わりかな?

 そうこうしていると町に到着し、貴族の馬車はあたし達とは違うお高い宿へ向かいっていった。

 こっちはギルドへ行く必要があるため足をそちらへ向けた。


「戻りましたー! 外に仕留めた獲物を置いているので確認お願いします」

「お、帰ったか」


 ドルブさんに話を通し、レスバとソアラの待つ荷台へと戻る。別の選定してくれる職員さんと一緒に外へ。


「ふむ。いい個体だ、毛皮の状態もいい。依頼は二枚だったが、これは金貨三枚出そう」

「いやったあ!」

【苦労した甲斐がありましたねえ。これで明日買い物をしてゆっくり休みましょう】

「はは、いいな。冒険者はたまの休みも必要だ。お前達はずっと依頼をこなしていたからなあ」

「お金、全然もっていなかったもの……」


 ドルブさんがたまにはいいだろうと、報酬に少し色をつけてくれた。これで山越えの準備が出来たら早速向かおうと思う。

 ご飯を食べてお風呂(有料)に入り、ゆっくり休んでから翌日、店舗回りをすることにした――

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