アイツの逆襲

 本木千夏の姿を確認した鬼塚、伊万里、桜太郎おうたろうは凍りついた。

 本木千夏の方は、不気味な笑みで近づいてきた。手には、鋸を持っていた。

「ぎゃぁぁぁぁ!!!」

 本木千夏は包丁を持って鬼塚に向かって突進してきた。

 自らの身の危険を感じた鬼塚は、

「皇さんっ!中入って本郷君達を呼んできて!」

 伊万里は鬼塚に言われてビルの中へ走ろうとしたが、桜太郎おうたろうが腕を掴んだ。

「伊万里ちゃん、俺も行く!」

桜太郎おうたろうさん⁉︎」

「伊万里ちゃん1人なの心配だから」

桜太郎おうたろうさん、私は子供じゃないんですよ!早く先輩達呼ばなきゃ鬼塚さんが」

「わかってるよ!伊万里ちゃんが子供じゃないのも先輩達呼ばなくちゃいけないのも!けど、相手は鋸持ってるんだぞ!下手したら伊万里ちゃんが…」

 桜太郎おうたろうの話を聞いた伊万里は

桜太郎おうたろうさん…」


 すると騒ぎを聞きつけた本郷、八巻、一華がビルの中から出てきた。

「本郷さん、八巻さん、阿南さん!」

 伊万里は3人に気づいた。

「皇さん、大丈夫?」

 と一華は伊万里の側に来た。

「なんか外が騒がしいと思ったらこんな事に…」

 八巻は包丁を持って鬼塚を襲おうとする姿を見て唖然とした。


 本木千夏は奇声を発しながら鬼塚を襲おうとしたが、当の鬼塚は、本木千夏から逃げてばかりだった。

「鬼塚さん!さぁ、早く中へ!」

 八巻はビルのドアを開け、鬼塚を手招きし、他の皆もビルの中へ入った。

 八巻に気がついた鬼塚はダッシュしてビルの中へ入ったが、本木千夏が追いかけてきた。何でも屋に着いた一行は急いで中に入り、鍵を閉めた。

 しかし、本木千夏は奇声を発しながろドアを蹴飛ばしていた。

 一行は、この最悪な状況をどうするか相談し、相談した結果、八巻が警察に通報し、一華が本仮屋すずの一家に連絡を取った。しかし、本木千夏がドアを破壊し、中に入ってきてしまった。

「おーにーづーか!!!」

 本木千夏は鬼塚に向かって包丁で斬り殺そうとした瞬間、鬼塚の姿は牛鬼になった。

「化け物め…あぁぁぁぁぁ!!!」

 本木千夏はめげずに包丁を鬼塚に向けて刺そうとした。

「鬼塚さん!!!」

 伊万里は叫んだ。

 その時、警察が来て本木千夏に手錠をかけた。本木千夏は暴れたが警察に取り押さえられた。警察が来たと同時に本仮屋すずとその両親が駆けつけた。本木千夏の妹で本仮屋すずの母を名乗る女性が、鬼塚達に謝罪し、本木千夏は警察に逮捕された。


 翌日本木千夏の事がTVニュースで報道され、本木千夏が逮捕直前の時の顔を見た鬼塚は

「あの人怖かったわー。ていうか、顔よく見たら鬼婆だな」

 と苦笑した。

 何でも屋一行は、それでもいつもと変わらず仕事に明け暮れていた。

「あー。やっぱ平和が1番!」

 鬼塚はそう言って仕事に取り掛かるのだった。

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牛鬼のショクム 目黒恵 @meguro831

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