第10話 隊列
「なんで俺たちはこんななんもない村を襲撃するんだろうな?」
ひげを生やした男が隣にいた金髪の男に話しかけた。
「さぁ?噂じゃこの村は黒の月に反抗的だからとか言われてるぜ。馬鹿だよな、黒の月に反抗するとかさ」
と話していると気配を消していた童顔の男が話に割って入った。
「ねぇ私語はやめなよ」
鋭い目つきでひげの男を睨みつけた。
「あぁ?なんだこのガキ……ここはお前みたいなのが来るとこじゃねぇよ」
とひげを生やした男が言うと童顔の男は目にもとまらぬ速さで銃を取り出し、撃った。
銃声が森の中に響き、驚いた鳥たちが一斉に飛び立った。
「ガキって言うんじゃねえよ。殺すぞ」
ひげの男は目の前をかすめた銃弾にびっくりしてしりもちをついた。
「チッ、こんなことで撃たせんなよ。弾が無駄になるだろうが」
童顔の男はそう言ってまた気配を消した。
「今のは……」
ひげの男が茫然としていると隣の男が
「あの人はこの部隊の隊長だよ。おまえ生きててよかったな」
と手を差し出した。
「それにしてもあの銃はすげぇ長かったな。俺が持ってんのと大違いだ」
金髪の男は童顔の男が持っている銃を観察した。
「全体、とまれ!」
軍の侵攻が止まる。一人の将校が前に出て話し始めた。
「これより桔梗村の殲滅を行う。あの村にいるものはたとえ女だろうが子どもだろうが殺せ!そしてすべてを奪い去れ!我らに歯向かうすべてのものを根絶やしにするのだ!すすめぇ!」
その言葉をきっかけに兵たちは村へ走り出した。森を抜け、村の入り口に着く。
村は異様なほど静かだった。
「なんだ?この村。静かすぎねぇか」
足を止め兵たちは慎重に村の中へ入って行った。
紅蓮の姫に誘い出されていることも知らず彼らは自らの足を地獄に踏み入れて行った。
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