第9話 新手出現

フェルナーは一瞬固まった。今何が起きたか理解出来なかったのだ。しかし直ぐに部下に叫んで指示を出す。

「全員全速力で移動しろ!塹壕の土ごと貫通してくるぞ!頭を下げつつトンズラするぞ。」

そう言ってポイント3に急いで移動する。


「ゴキブリ共が急いで逃げ出し始めたか…。」

そう呟くとオーギュストは

「アルネ、シーマ光線魔法10秒照射。目標ゴキブリ共。10mづつ3人で偏差打ちするぞ。」

「「了解ました。」」

そう言うと目標に向かってアルネから10秒ずつ光線を発射する。フェルナー達は逃げるものの光線に追いつかれて部下たちが蒸発する。

「隊長!!死にたくねぇ!」

そう言って手を伸ばした部下のひとりは手を残して塵となった。

「畜生!お前ら先に行け!」

フェルナーは隠れるのを辞めて塹壕から身を乗り出してシーマを狙撃した。

「うっ!」肩を撃ち抜かれたシーマの光線が上に逸れた。顔を見せたフェルナーをオーギュストが指撃ちの光線で撃ち抜いた。フェルナーは顔を撃ち抜かれて倒れた。

オーギュストはシーマに続いて光線を照射して残りの部隊を殲滅した。

残ったのは焼けた大地だけだった。そして日が沈む。


「やれやれこれで諦めて撤退してくれるといいんだがな。」

アーネルネはコーヒーをすすりながら言った。


その時アーネルネを黒い影が覆った。

「なんだ..あれは!」


「間もなく降下地点に着きます、フォレスト川を超えるところです。」

操舵手がそう伝える。

「よし!1キロ離れた地点で兵を降ろす!」

「小隊長聞いたな!キンバルの二の舞いになるなよ!先に装甲輸送車を降ろす!」

そう艦長が言う。

「了解しました。装甲輸送車を全面に出しつつ歩兵を展開します。」

空中軍艦から装甲輸送車が降下してくる。


「閣下、両面から敵軍に挟まれました。フォレスト川下流の方から脱出して下さい。」

アーネルネはオーギュストに進言した。

「いやワシは残る。どうせ帰っても5年後には土の下だ。君達は脱出しろ魔法師団も連れてな。」

「ひとりでどうなさるつもりですか!例え残ってもあっという間に制圧されてしまいますよ。」

「なに、ワシには秘策がある。時間は稼げるさ。」


「じーさんはなんだって、アーネルネ。」

チャーチル中佐は尋ねる。

「ひとりで残って時間稼ぎするとよ。」

「無茶苦茶だな、いくら王国の最終兵器とはいえひとりでは無理があるぞ。」



「どれやるかな、土塊よ…」

泥の塊が浮かび上がり人型になる。

「土のゴーレム20体これが限界か。さてどれ程持つかな。」

オーギュスト・ピエール・ロマノフスキー魔法師団長は杖に仕込んだ剣を引き抜いた。

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