第十九話「戦後」


神樹国家のブレイブ王との会談を終わらせた翌日、ジン達は始帝国への帰路につこうとしていた。


神樹国家シルフィリアの外壁門前


ジン達は始帝国の馬車の前でブレイブ王と話をしている。


「この度は、誠に感謝いたします。ファウスト殿」

「いえいえ何かあったらお互い様ですよ」


そして、ブレイブ王と手を握り合う。


「ファウスト様、本当にありがとうございます!これから、一歩ずつ進んでいきます!」

「セイン殿、これからは貴方もこの国を支えていく1人です頑張ってください」

「はい!」


そして、ジンはセインに手紙を手渡す。

「これは?」

「これは、あなたが一人になったときに読んでください」


それだけ言ってジンは第一王女ニールの元へ向かう


「ありがとうございますファウスト様、この国を救ってくれて」

「いえ、神樹国家の方々がいたから勝てたのですよ」

ふふふ、とニールは笑う


「そういえば、ファウスト様はお強いとお聞きしました。今度お手合わせをお願いしても?」

「いいですよ、また機会があったらですが。その時はお手合わせしましょうか」

「楽しみにしてますわ」


そして、ジンはルイへ向く。


「ルイ殿、今回の戦いは貴方の勝利と言っても過言ではありません。貴方が我が国に来て

勇気を振り絞って助力を要請したから勝てたのです。それを誇ってください」


ルイは泣きそうな目で答える


「はいっ!ジン様もありがとうございました!」

そして、深くお辞儀をした。


ジン達は馬車に乗り込み神樹国家の門から出て帰途についた。



          *



半年後

神樹国家シルフィリア


神樹から少し離れたところにある小さな湖

周りはたくさんの花々が咲き乱れている。


その中心にあるのは二つの墓


ブラスとムートの墓だ。


その前に立つのは1人の少年

手に花束を持ち墓を眺めている


「ブラス兄様、ムート兄様、お元気ですか?」


その少年こそ神樹国家シルフィリア第三王子セイン・シルフィリア


セインは手に持つ花束を、そっと手向けた。


「ムート兄様、最近はニール姉様がムート兄様に魔法を教えて貰えばよかったと愚痴ってましたよ、ルイ姉様も始帝国での話をしてくれました」



「ブラス兄様…僕は貴方のようになれるだろうか…僕があんなことをしなければ…」


セインは苛立ち、唇からは血が垂れ

拳を強く握り、手のひらに血が滲む

涙を堪え心の中で懺悔する


「セイン様?」

声の主を見るためセインは振り向く


そこにはセインと同じくらいのエルフの少女がいた。


彼女の手には白い花がある。

その花の名は「テリル」

エルフからは「導きの花」とも呼ばれている



そして、とても似た花がジンの元いた世界にもあった。


その名も「クサギ」



花言葉は「運命」



その運命は、善いものか、悪いものか。


必然か、偶然か


誰にもわからない…

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