第4話 慶一と鈴の本

「なんで、彼らの本だけないのだろう?」

 私は、ボソッと声に出した。その時、おじさんが

「本は、見つかったかい?もし見つからなかったのであれば、あまり出したくないが、倉庫の本でも見るか?」

「倉庫の本?」

おじさんに聞いてみた。

「倉庫にある本は、もう人間界やその真逆の世界にも、行けなかった人達の本があるんだ。そこに確か、斎藤慶一と佐藤鈴ていう名前の人の本も、あったと思うんだけどねぇ」

私は、びっくりした。

(もし倉庫にあるとしたら、彼らの事が分かるかもしれない。)

私は、おじさんの目を見て

「倉庫に案内してください。」

 おじさんは、ドアの前にたっていた、小さな幽霊を呼び出して、私を案内した。

ギーギギー  錆びた鉄の扉が開いた。

倉庫の中は、ホコリがまっていて、とても暗い、おじさんが懐中電灯を三本持ってきた。おばけと私と、おじさんの分だ。


 何時間たっただろう。

どれだけ探しても、彼らの本がない。そう思ったとき、

「ございましたよー」

小さな幽霊が、おじさんの前に、本を持ってきた。私は、急いで、本のページをめくった。そこには、確かに昨日の事が書いてあった。

(彼らは、人間界の者でも、異世界の者でも、あの世の者でも、ないのか?)

「おじさん、この本を借りてっていい?」

おじさんは、コクリとうなずいた。

(これで、彼らの事が分かる)

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