わたしの正体を知っているのは彼らだけ

櫻井 志

1章

第1話 わたしは,,,

 皆、生まれる前、前世は、人間ではない何かだったかもしれない。

私は、この世に存在している。しかし、私には、実体がないのだ。


 私の名前は、『中野なかの 零夏れいな』 人ではないが、人間の姿をしている。

私が人でないことは、私だけが知っているはずだった。

しかし、学校の私のクラスのリーダーポジションにいる『斎藤さいとう 慶一けいいち』そして『佐藤さとう すず』が、私の正体を知っていたのだ。なぜ、あんな陽気な人間が、普段何も話さない私の正体を、彼らが知っているのかは見当もつかない。過去に彼らとあった記憶もないし、彼らに正体を、明かしたことも全く身に覚えのないことだ。

 だから私は、二人が帰ろうとするタイミングを見て、なぜ知っているのかを聞いた。すると彼らは、口を揃えて、こう言った。

「だって、僕らは、会ったことがあるだろ?ずっとずっと昔に」


 私は、疑問に思った。

そんな記憶、私には、なかったのだから。

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