第21話 次なるは、宿泊研修

文化祭の熱気も落ち着き、日々は再び静かな学校生活へと戻っていた。


とはいえ、次なるイベントはもうすぐそこに迫っていた。


そう──宿泊研修だ。


『……研修っていう名前だけど、結局レクリエーションとか多いんだよな』


「うん……みんな、楽しみにしてるみたい」


昼休み。教室の窓際で、いつものように眠桐さんと話していた。


『俺たちの班、どこだったっけ』


「えっと、起実くんと、私と、陽斗くんと……」


『あー、あとは環と、他二人か』


「……うん。班長が陽斗くんで、副が……起実くん、だよ」


『え、俺だったっけ!?』


「……ふふ、ちゃんと決まってたよ?」


『お、俺そんな器じゃないけど……ま、がんばるか』


眠桐さんが、そっと微笑む。


「起実くんなら、大丈夫だよ」


その言葉が、不思議と胸の奥を温めた。


放課後。宿泊研修の説明会が終わり、帰り道。


『環、荷物ちゃんと準備できそう?』


「はいっす!……てか起実先輩、副班長だったんすね~!」


『ま、そういうことになってたらしい…』


「うんうん、しっかり支えてくれなきゃ困るっスよ!私も色々楽しみにしてるんスから!」


そう言って笑う環の顔には、もう吹っ切れたような晴れやかさがあった。


……隣では、眠桐さんが小さく頷く。


眠桐さんと環──

お互い、ちゃんと向き合って、前に進もうとしているんだな、と思った。


その夜、グループチャットが動き出す。


陽斗明日からの研修、みんなよろしくなー


白部了解っス!楽しみっス!


起実副班長って何すればいいの…


眠桐起実くん、無理しすぎないでね……


そうやって、宿泊研修の空気は少しずつ高まっていった。

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