第8話
なかなか面白そうな組に入った。
昼休みに入ったシズカは自己紹介を振り返る。
白獅子に英雄の子孫、エルフ、癖のありそうな孤児まで。
妖狐であるシズカは遠距離型のアタッカーだ。
先程の教官の話にあったように妖狐族は強力な魔法を使う。
いや、厳密に言うと魔法ではなく妖術なのだが、人族には同じにしか見えないだろう。
(妾のパーティー…か)
シズカとしては別にソロであっても構わない。
ソロでも中級探索者程度にはなれるだろう。
しかし、特級探索者に妖狐族が名を連ねていない現状を歯がゆく思っていた。
身体能力に優れる獣人の中でも数少ない妖術を使用できる妖狐族は、戦闘能力で言うなら獣人の中でも一、二を争う。
そんな妖狐族が人族ですら籍を置いている特級探索者の中にいないのだ。
悔しくないわけがない。
探索者として上を、特級を目指すならどうしたって仲間が必要になる。
妖術が効かない魔物もいれば、一度に遭遇する魔物が多くなる中級以上の迷宮において近接戦闘力に劣る妖狐の自分では囲まれてしまったら終わりだろう。
(とすると、求めるメンバーはあれじゃな…)
まずは盾、タンク職となるだろう。
魔物の接近を防いで遠距離から妖術を安定して放つための壁役となるタンク職のメンバーはぜひとも欲しいところだ。
安全を考えればヒーラー職も欲しい。
迷宮探索に怪我は付き物だし、ポーションで代用するといっても戦闘中に飲めるわけもなく、ポーションは値が張る。
安定した迷宮探索には保険の意味も含めてヒーラーは必要となるだろう。
また、迷宮内の危険な罠を解除する斥候職も必要か。
罠付きの宝箱もあることから鍵開けの技術も持つ斥候職はできればほしいところだ。
妖術の効かない魔物を考えれば、近接攻撃に長けたアタッカーも必要となるだろう。
まあ、近接職は数が多いのでこれについては焦る必要はない。
自己紹介によればそれなりに候補となる者はいそうだ。
しかし、とシズカはそのしなやかな腰まである金髪をかき上げる。
シズカは本当に十五歳かというほどの妖艶な美女である。
そして、シズカ自身も自分が異性にとって魅力的な容姿をしているということを理解していた。
(下心がみえみえの男は嫌じゃな…)
思春期真っ盛りの同年代の少年達は、隠そうともせずに不躾な目線を向けてくるので苦手だった。
シズカは、その美貌に加え、発育も良く、女性のシンボルもたわわに実っており、自己紹介時にいくつもの視線がそこに集まっていたことを知っている。
迷宮探索中に魔物以外のことも気を配らないといけないのは億劫であった。
(となると、あ奴らかのぅ…)
シズカは席を立つと仲良く談笑している孤児院出身の女子三人組へと足を向けた。
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