戦史
剣『他にも独特の考え方として、『戦史』という授業もあります』
チ「にゃあ? 何でそんな授業があるんだにゃあ?」
剣『これはどちらかと言えば、仕事に応用するためですね。戦史を通じて仕事に必要な常識を学ばせるのが大きな目的です』
チ「それは何故かにゃあ?」
剣『これはあまり知られていない事ですが、会社の仕組みは基本、戦略理論の応用です。そこから始まっているので戦略を学ぶと自然と仕事に必要なことがわかります』
チ「そんなもんかにゃあ?」
剣『ところがどっこい。これをおろそかにしている会社も多いんですよ?』
チ「例えば?」
剣『旧日本軍が兵站の失敗で酷い事になったと知っている人は割と多いと思います』
チ「兵站が何かわからにゃいけど、要は準備不足が問題だったんだにゃあ」
剣『ところがこれが会社の運営になると必要な材料を揃えられない人が多いんだよなあ……………………』
チ「にゃ、にゃんでそんなことになるんだにゃ?」
剣『倉庫管理を一番仕事できない人に任せるから』
チ「??? 倉庫管理なんて誰でもできるから、そうなるんじゃにゃいかにゃ?」
剣『じゃあ、兵站を現代の言葉に直すと調達係になるんだけど、この調達係って軍で言ったら誰の役割だと思う?』
チ「にゃあ? 倉庫係かにゃ?」
剣『参謀本部』
チ「……………………にゃあ! そんなに賢い人の役割なのかにゃ!」
剣『当たり前だろ? 銃弾無いと戦えないんだから。計画を立てて、それに合わせて必要な物を期限内に用意して、しょっちゅう起きるアクシデントは迅速に対応。そこまで出来る人材ってそんなにいると思う?』
チ「た、確かにそう言われてみると大事な仕事だにゃあ……」
剣『しかもそこまでやって初めてスタート地点に立てるんだ。仕事ならそこから始まるのに仕事できない人にばっかりやらせるから、倉庫には要らん物で溢れるようになって、消費期限が切れて使い物にならなくなったもので埋まってる倉庫を俺はいくつも見て来たよ?』
チ「無茶苦茶な運営だにゃあ……」
剣『戦略の場合はここからも色んなアクシデントが多発するからね。そういった問題に対処できるだけの準備も必要だし、そこから学べば大概の仕事の問題は解決できるでしょ?』
チ「い、言われてみれば大事だにゃ?」
剣『ここからはおじさん独自の戦略方針になるんだけど、戦略の必要5要素として人材、時間、空間、物資、資金が挙げられるんだわ』
チ「にゃあ、難しい話しが出たにゃあ」
剣『そして、これはこのような問題が起きる』
少ない 多い
人材 作戦を実行できない お金がかかり過ぎる。サボる
時間 作戦を実行できない 物や人が腐る
空間 作戦を実行できない 必要な5要素が増える
物資 作戦を実行できない 溜める場所の確保や費用多い、腐る
資金 作戦が実行できない 困らないけど、足りない事が多い
チ「にゃあ……確かに経営で困ることが全部表されるんだにゃあ……」
剣『こんな感じでどこの組織も運営に頭を抱えるのがこういう点だわ』
チ「時間の人が腐るって言うのはどういう意味かにゃ?」
剣『仮に20年の月日を費やすなら、大概の作戦は実行できるようになるんだけど……』
チ「にゃあ?」
剣『20年経つと二十歳が四十路のおっさんになるんだよ?』
チ「い、いわれてみれば……」
剣『他にも折角用意した武器も時代遅れになったりするし』
チ「それじゃ役に立たないんだにゃあ!」
剣『作戦も仕事もそうだけど、五要素を上手く運用出来ないと結果的には酷い事になる。こういったことを学ばせるためにも教えているんだ』
チ「難しいんだにゃあ」
剣『他にも小さい国なのに足を引っ張り合って国ごと全員滅ぶとか、そういう酷いレベルの馬鹿の歴史も大事だからねえ……いつも思うんだが、中小企業の役員の席めぐって足の引っ張り合いしてる会社を幾つも見て来たけど、あいつらは何をやってるんだろうね?』
チ「にゃあ……人の世界は業が深いんだにゃあ……」
剣『まあ、そんなわけで戦史を教える授業があると言うのが一つ』
チ「色々難しんだにゃあ」
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