ドゥカ

剣『ドゥカは約一円程度。そして、一番有利な通貨になるので、普通に生活している人なら、みんなドゥカを使う』

チ「一番使われる通貨だにゃ!」

剣『こちらは各地方で発行されるんだけど、わかりやすく日本の都道府県例えよう』

チ「ふむふむ」

剣『北から順に秋田、群馬、石川、鳥取、佐賀、高知だね』

チ「……にゃあ?」

剣『まあ、無理矢理日本の都道府県に当てはめるからわかりにくいかもしれないけど、日本で言えばこういった都道府県になる』

チ「な、何か微妙なラインナップのような……普通は名古屋とか大阪とかそういった大都市にするんじゃないかにゃ?」

剣『そう思うだろうけど、実は違う。発行権が与えられるのは過疎化が進んでいる地域なんだ』

チ「嫌な理由だったにゃ!」

剣『これはどうしてかと言えば、学校で工業地帯について聞かなかったかい?』

チ「あるんだにゃ! 名古屋と大阪と東京だにゃ!」

剣『おじさんの時代は福岡も入ってたんだけどね。わかりやすく言うと大都市の近くはそのおこぼれで発展しやすいだろ?』

チ「確かに発展しやすいんだにゃあ。東京の人が「千葉、埼玉、茨城、栃木は田舎呼ばわりだったけど、地方住まいからすると、それでも十分都会だにゃ!」

剣『このようにど真ん中よりは低いけど、近場は恩恵を受けられるから発展しやすいんだ。それに対して過疎が進むってのは『近場に大都市が無い』ってのも大きな要因になる』

チ「売る物があっても売るところが遠いんだにゃあ」

剣『そして、そもそもの小分け経済論は『地方をバランスよく発展させる』ってのが目的だから、そうなると、大都市を更に発展させるんじゃなくて、そもそも?』

チ「確かに! そっちの方が大事だにゃ!」

剣『ここでちょっと考え方を変えてみよう。単純に経済を焚火で考えてみよう!』

チ「焚火?」

剣『寒い雪原に焚火があると考えて欲しい。さっき言った大都市は大きな焚火だね。だから周りにいる人もそれなりに温かい』

チ「たしかにすぐ近くよりは寒いけどちょっと温かいんだにゃ?」

剣『じゃあ、均等に温めるにはどうすればいいと思う?』

チ「そりゃ、焚火から均等に遠い場所かにゃ?」

剣『言い方を変えると一番冷えているところだね。さて、これを日本で当てはめると一番冷えているのはどん都道府県かな?』

チ「……!」

剣『正解! だからそういう所に通貨発行権を与えているんだわ』

チ「なるほどにゃあ!」

剣『ちなみにさっき言った藩札制度の最大の問題は『乱造してかえって混乱した』のが原因で大層不評だったそうな。だから乱造を防いで慎重に選んで発行権を与えるのが大事になってくる』

チ「その辺のさじ加減は難しいんだにゃあ!」

剣『特に日本の場合は成功するとすぐに『じゃあ、うちの自治体にもちょうだい!』って言ってくるからなあ。その辺の選択が大事になってくる』

チ「よく考えずに真似したがる奴が多いんだにゃあ!」

剣『しかもこういう時に限って東京とか、大阪とか明らかに要らん自治体ほど『うちも過疎化進んでるから!』と堂々とのたまって要求するからなぁ……どの口が言うのやら』

チ「お兄さんは都会が嫌いなのかにゃあ?」

剣『都合のいいことしか考えないバカが嫌いなだけです』

チ「厳しいんだにゃあ」


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