準備は念入りに

 流石は河童橋、調理に関する道具は何でも揃う。


「どれが良いと思いますか?」

 今日はポテトボール(仮)を入れるパッケージを買いに河童橋に来ている……織田君って、やっぱり凄いと思う。

 敬語で話し掛けたのには理由がある。そこにいたのは三人の美少女。中学時代の僕だったら、話し掛ける事すら避けていたと思う。


「このお芋さんのキャラクターが描かれたやつが良いんじゃないか?可愛いから子供達喜ぶと思うな。読み聞かせの時に使う絵本とタッチが似ているから、絶対喜ぶよ」

 ボランティア部代表結城流々華さん。ギャルで陽キャ。一見不真面目そうに見るけど、ボランティア部で熱心に活動しているセクシー系のギャル。露出多めの私服で、まともに見れません。


「私はPOTATOって書かれたパッケージが良いと思うわ。シンプルで分かりやすいし、値段も安いしね」

 家庭部代表、部長さん。妖艶な雰囲気を持っている上級生。美人な上に、立派なお胸をお持ち。今日はサマーセーター……胸が協調されまくっていて、こちらも、まともに見れません。


「私はジャガイモのイラストが描かれた奴が良いと思うな。誰でも分かるし、信吾君の料理にピッタリだもん」

 そして調理部門代表秋吉さん。僕クラスメイトで、うちの店でアルバイトをしている……そして僕が片想いしている人。

 三人共物凄い美少女で、周囲の視線を集めている。でも一緒にいるのはキングオブモブな僕。絶対に怪訝で目で見られていると思う。

(胃が痛いよ……織田君は似た状況でも、違和感がなかったのに)


「えー、それあまり可愛くないじゃん。もっと映える方良くない?」

 たしかに秋吉さんの選んだパッケージはシンプルだ。

 織田君は、、いつも話題の中心で堂々としていたのに堂々としていた。でも僕は議論にも入れず、傍観者になっています。向こうはハーレム物の主役で、僕はオプションみたくなっている。


「でも子供だけが買うんじゃないだよ。男の人でも、持てる物の方が良いと思うな」

 確かに結城さんが選んだのは可愛すぎて、僕でも持つ辛い。秋吉さんはアルバイトを始めてから、客商売に興味が湧いたとの事。

(僕も何か言わなきゃ……)

でも、気の利いた言葉が出てきません。女子グループと行動する事、自体が無茶振りなんだ。話に入れず一定の距離を保っているから、金魚の糞感が凄い。


「せっかく漫研の人が可愛いイラストを描いてくれたんだから、自分達で作っても良いんじゃない?」

 家庭科部とボランティア部。合わせるとそれなりに人数にそれなりの人数になり、漫画研究会に看板を書いてもらう事が出来た。

しかもオリジナルキャラまで考えてくれたのだ。噂では家庭科部の部長がお願いに行ったらしいけど……。


「印刷からってなると、コストが高くなるんですよ。組み立ての際に汚染の危険性もあるので、この中から選んだ方が良いと思います」

 カラー印刷って、高いんですよ。しかもパッケージに印刷となると、更にコストが。

 手を洗ったから、絶対に大丈夫とは言えない。何で汚染されるから分からないから、使う寸前に取り出す形にしたい。


「ふーん……良里君は、どれが良いと思うの?」

 部長さんが、“だったら、どれが良いの?”って感じで返答をも求めてきた。また空気を壊してしまった感じがします。


「揚げ物を入れるので、少し厚みがある物。そして子供が持ちやすい大きさで、深みもあるやつ……この辺りですね」

 僕はデザインとかに拘りはない。だから、どうしても料理を中心に考えてしまう。

児童館の出店なので、子供が多く来ると思う。あまり薄いと熱くて持てない。でも大きくすると、子供の手では持ちにくい。


「流石は信吾君。お客さんの事を考えている。でも、深さは何の為?」

 子供の頃からお客さん第一と育てられてきたので……誕生日を父さんと母さんが揃って祝ってくれた事は、何回あっただろう。


「浅くてポテトボールを落としたら、可哀そうでしょ?……交換のコストって、地味に大きいんだよ」

 ただの出店なら落としたら残念で終わるけど、僕が関わるのは児童館の出店だ。交換も視野に入れておいた方が良いと思う。


「本当に料理中心なんだね。うーん、小さい子は親御さんと一緒に来るし、テーブルも設置する。それにボランティア部も見守りをするから、そこまで大きくなくても良いと思うよ」

 以上ボランティア部代表結城流々華さんの意見でした。販売希望者が多かったのは、見守りに人数も含んでいたかららしい。


「だったら、このタコ焼き用の紙皿を買っても良いんじゃないかな?テーブルで食べるお客様には、これを使ってだすの」

 部長さん、それありです……タコ焼きか。


「結城さん、児童館にタコ焼き機ってあるか分かりますか?」

 うまくいけば、もう一種作れるかもしれない。


「確か保護者さんから寄付してもらったのが、ある筈だよ」

 良かった。あれって借りると地味に高いんだよね。問題は……。


「秋吉さん、臨時のランチ会開いて良いかな?まずは徹にライソしてっと」

 徹を通さないと会議室借りれないし……グループの方で、タコ焼きを持っている人いないか聞かなきゃ。


「一番の恋敵ライバルは料理ってか。実、ファイト……聞いてねーし」

 うん、正解。僕のライバルは料理だ。ライバルを制して、一人前の料理人なるんだ。


 たこ焼きは徹が持ってきてくれる事になった。


「これってマーチャントで出している最新式だよね。番組で紹介したやつだ」

 流石は現役アイドル。情報に詳しい。

 アイドルを隠さなくなった竜也のキラキラ感が凄いです……今度、サインもらおう。


「ちょっと縁があってな……コーンに魚肉ソーセージにチーズ。信吾、今度は何をするつもりだ」

 どんな縁があったら、最新式のたこ焼きがもらえるんだ?うらやましい。


「他にキムチとエビ、ツナもあるぞ……今回は大丈夫だよね」

 嫌いって訳じゃないけど、織田君達には来て欲しくない……僕が勝手に嫉妬しているだけなんだけどね。


「心配するなって……来たぞ。竜也、アイドル封印な」

 なんでも夏空さんに会議室に来る前にライソしてって、頼んでおいたらしい。


「おっ、集まっているね。今日はタコパでもするの?」

 夏空さんは、そう言うと徹の隣に着席。もう好意を隠す気がないでしょ。


「信吾君、私はトマトケチャップ持ってきたよ」

 秋吉さんは、僕の隣に座ってくれた。二分の一だけど、かなり嬉しい。


「それで今日は何を作ってくれるの?」

 桃瀬さんは竜也の隣に……桃瀬さんってスリーハーツのガチ勢なんだよね。隣にいるのが、本物のユウだって知ったら、驚くだろうな。


「ポテトボールなんだけど、父さん達から種類を増やせって言われたんだ。具材をいれようと思ったんだけど、揚げる時に割れやすくなる。だから、タコ焼きの要領で揚げ焼きにすれば防げるんじゃないかって思って」

 タネに具材を入れて丸めていく。溶いた子小麦粉にくぐらせて、タコ焼きに乗せる。


「どの具材が美味しいか決めるんだね……あー、そうするとケチャップは駄目だよね」

 秋吉さんが残念そうに呟く。大丈夫。秋吉さんのアイディアなら全力で採用します。


「タネにケチャップを混ぜて見ようと思うんだ……どれ美味しいか教えて」

 焼きあがったポテトボールを並べていく。


「コーンは食感も良いし、美味いな。逆にツナとエビは味がぼやけているぞ」

 エビ焼きとかあるから、良いと思ったんだけど……あれはソースあってもの物か。


「当たり前だけど、チーズが一番美味しいね。キムチも美味しいけど、崩れやすくなってるよ」

 今の所採用はチーズとコーンか。


「ケチャップと魚肉ソーセージ合わせたら美味しいんじゃない?魚肉ソーセージをケチャップ炒めにしてさ」

 夏空さん、ナイスアイディア。それを一回タネで包んで、もう一回包めば問題ない筈。


「良里、エビチーズ作って」

 組み合わせれば塩味えんみの少なさをカバー出来るか。これでメニューは決まった。

 商品名は丸投げします。

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