第5話

「え。亡くなったって」


「私、入社する前は、ずっと学校に通いながら、父と一緒に、母の看病をしてたんです。母は認知症と鬱を患っていて、学校から帰ってくると、いつも母のそばについていてあげないと、だめだったです。母はいつもとんでもない行動をしてました。やかんに火をかけてそのままにしておいたり、外を徘徊したり、夜もろくに寝なかったり。でも、わたしは、一生懸命看病しました。わたしを産んでくれた母でもありますし、わたしをそれまで育ててくれた母でもありました。夜のドライブが好きで、わたしと父と母と三人で、よく、夜のドライブにでかけました。母は、その時だけはうれしそうで、昔の母に戻っていたんです。わたしと父もとても、うれしくて、いつも行くあてのないドライブでしたが、

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