第8話 トラブル

私はオタクが増えてきて、完全に調子に乗ってた。

案の定トラブルが起きてしまった。


今日の物販で私のオタク同士がケンカをしはじめた。

最悪のトラブルだ。

もめたのは残数28のオタクと残数34のオタクだ。


なんでも先週28がくれたプレゼントは

私が使っているツイートをしたのに

34のプレゼントはまだ

ツイートしていなかったらしい。


痛恨のミスだ。


それを暗に自慢していたらしい。

チェキの裏書きもどっちが多いだなんだ、ツイッター上でマウントが現実に影響してしまった。


最後のきっかけはライブ終了後、チェキ列の最後尾札を34黙ってとった、いや28が渡さなかったなんだかんだで、お互いにイライラが爆発。

闘争心火がついてしまったらしい。

君と君、試合決定で。

私の中の朝◯未来が顔をだす、だしてる場合じゃない←


なんにせよ、大の大人がもめることじゃないよ。

いや立派な大人ではないから、オタクなんだし、そんなことで、大の大人同士が実際もめているのだ。


あぁ恐竜の時代からオスとオスがメスを取り合って、命が紡がれてきた。


今、渋谷の地下でどっちが私から推されているか、オタクとオタクが争っている。

私は、いつの間に勝者の賞品になったのだろうか。

お互いに冷静になれ、私はドン引きしてるぞ。


私がどちらかに勝ってほしい~。

争う姿がカッコいいって顔をしているか?


恋は盲目とはよく言ったものだ。

争いの根本であるハズの私が

蚊帳の外で、2人には見えていないらしい。


そんなトラブルにしゃしゃり出る黒いキノコの影。

オイやめろ、マッシュ。

こんな時だけ意気揚々とでてくるな。

後方で彼氏面していろ。

喧嘩を仲裁して手柄をたてるつもりか?

お前にはムリだ、帰れ。

そう心の中で叫んだ。

だがテレパシーは届かなかった。

そもそもお前は、28や34より圧倒的に弱そうじゃないか。

お前の細い足じゃローキック1発で終わりだぞ。

地元で負け知らずなのか、ただ戦ったことが無かっただけだろ。


以前はこんなもめごとなかった。オタクが増えてくると当然と言えば当然。

お互いに気に入らない相手もでてくるだろう。


そこは、私を好きなもの同士、喧嘩はやめてほしい。


私は持てる全てんlアイドルパワー全開にした、キラキラ~。

28と34にライブ以上の、ケンカダメ、絶対の熱視線を送った。



が、ダメだった。

ほかならぬ私を争っているのにだ。


ヒートアップする28と34の取っ組み合いにちょっかいを出したマッシュが軽く5メートルほど弾き飛ばされた。


そのまま物販テーブルにぶつかり現金やらチェキ券が散乱した。


『なにやってんだお前ら!!!』

運悪く、普段はライブに来ないチーフマネージャーの怒号が地下フロアに響いた。


うん、介入が2テンポくらい遅かったね。

もっとはやく止めてほしかったが、後の祭りだ。


地下アイドル特有の人材不足があだになった。


28も34もその場でチーフマネージャーから出禁を言い渡され、両方のチェキ残数が0になった。


2人とも仲良く天界にお帰りになられたようだ。

大の大人がここまで熱くなれるのが、推し活ってことなんだろうか。


軽くふっとばされ、全く役立たずだったマッシュの

チェキ残数がなぜか20くらい増えていた。

私への謎の使命感がめばえたのだろうか。

女を守るのが男の役目なのだと。

28+34=62

差し引きマイナス40以上は流石にイタイ。


こんな時にぱたは居なかった、使えない←


いいか全てのオタクよ。

現場では仲良くだ。

もめると推しが悲しむぞ。



私は、この一件から現場では

他オタと仲良くするオタクが好きと

ツイートしまくるようになった。

曖昧な情報でもすぐオタクのネットワークで拡散される。

匿名のオタクこうあるべきBotみたいなアカウントのめにとまり、拡散やイイねがあったのは、僥倖だった。

そのことで、私や高ファンを知って、現場に初めてきたオタも居たからだ。


オタクは基本、推しから好かれたいイキモノだ。

アイドル側の提供する好かれる情報は、自分も推しにも応用できるハズ。


私は、私に好かれるオタク像を明言することにした。

これが、オタク同士の争いに疲れたオタクにはウケた。


アイドルはお神輿。

みんな仲良く担ぎ上げるもんだ。

オタ活は競争ではなく、協力なんだ。

私はちょとした影響力も手に入れていたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る