第37話 0.03 0.02 0.01?

「ただいま」

「遅くなるなら連絡してってルールだったよね? 」

「す すまん」


玄関を開けるなり仁王立ちマジモードの芽郁めいに怒られる。


「芽郁が遅くなったら、しつこい位に連絡してくるくせに」



いつもなら語気を強めた罵声や皮肉を言ってくるのに……それがないってことは、よほどお怒りのようだ。こっちの落ち着いたトーンで言ってくる方が怖い


「料理も冷めたから適当に温めて食べてね」

「はい。ありがとう御座います」


アイリとイチャイチャしてて、ルールを破ってしまった俺が悪い。


「芽郁、ごめん。気を付ける」


スタスタと芽郁はリビングに向かっていくので、後を追いながら平謝りをする。



「ってか、最近やたら帰り遅かったり、土曜日にも出掛けたり……」


ハッとした表情の芽郁だが、これはもしや『じぇらしー』なのでは?

ソファに座りクッションを抱きしめているが、よりギュッとクッションを抱きしめてるじゃないか。


いやいや、よく考えろ。芽郁に限ってそんなラノベヒロイン妹のようなデレを見せてくるか?



「あれ? もしかし芽郁は俺が女の子と遊んでる。って嫉妬してるのか?? 」


実際にアイリと遊んでるけど、芽郁にはまだ伝えてないからな。


「はっ? 冗談は顔と性格と将来だけにしてよ」


芽郁のなかで俺の将来は何になってるのだろうか? 

そこを教えてほしい。


れんちゃんも可愛い女の子と仲良さそうに歩いてたし」


ムスッとするとクッションにドコッ、ドコッ。っとアッパーを決め始めた。

手慣れたように一発一発が凄い重そうなアッパーを放ってやがる。やっぱコイツはギャルじゃなくヤンキーだ。

ってか、蓮のことで俺に八つ当たりしてるだけじゃねーかよ。


「可愛い女の子……ちなみにどんな感じの子だった? 」

「清楚で華奢で小柄。めちゃくちゃ色白で黒髪が綺麗。夏の洋館に出てきそうな美少女幽霊っポイ」



ほぉ…………完璧までに野々宮さんじゃねーか!


「もう。蓮ちゃんも生気が吸い取られたみたいに、ニタニタして女の子と手を繋いでたもん」


マジで? だって、野々宮さん。そんなにアプローチしてなかったよね??

付き合ってるのか? 凄い気になる!


「蓮ちゃんって、派手なギャルみたいな子がタイプだったよね? 」

「ま まぁ。そうだけど」

「でしょ。だから芽郁もギャルやってたのに! 受験終わったら、またギャルになろうとしてたのに!! 」


お前は立派なヤンキーにならなれると思うよ。

ヤンキーギャルも需要あるっちゃあるし、そっちでガンバ!


「蓮ちゃんと同じ学校の子なのかな? お兄ちゃん知ってる?? 」

「い いや知らないけど」

「本当に? 蓮ちゃんから聞いてないの?? さっさと知ってることは言った方が身のためだよ」


なんつーことを言ってくるんだ。芽郁も怖いが野々宮さんも怖いから、無関心でいさせて欲しい。

助けてアイリ!


「聞いてんの? お兄ちゃん! 」

「す スミマセン、ヨクワカリマセン」


とりあえず逃げなきゃ! 芽郁に嘘を突き通す自信は俺にはない。


「オッケー カラダデワカラセテアゲル」


ポキポキと指の関節を鳴らす芽郁。もうヤンキーの風格がハンパない!

同じセリフをアイリが言ってくれれば、色っポイ感じになりそうで分からせて欲しいけど、今は逃げなきゃ!


「シャワー浴びようっと」






なんとか芽郁の追撃を逃げ切ってシャワーを浴びた。

芽郁が自分の部屋にいる隙に飯を食ったが、飯はいつも通り美味かった。

少しだけ芽郁に罪悪感を感じつつ部屋に向かった。



さてと……こっからは俺にとって未知の領域になる。部屋に入りタブレットを取り出し『コンドーム 通販 オススメ』と検索を掛けた  



紳士たるものコンドームの1つや2つを所持するのは身だしなみだと、何かの雑誌でみた記憶がある。


え? 待って?? こんなに種類あるの!?

ショッピングサイト画面に、色々なコンドーム画像が出てくる。


中身がバレないように。って書いてあったりするけど、蝶の絵が書いてあったり、やたらお洒落じゃね?

ヒアルロン酸? 潤滑ローション?? Lサイズ? Sサイズ?0.03 0.02 0.01?


どのような理由でどれを買えば良いの? 全く分からん!


訳が分からなすぎて変な汗が出てくる


馬の種付たねつけなら勉強して詳しいのだが、人間様となるとお手上げだぜ。

リーディングサイアーともなると年間200頭位に種付けするわ、その一発が数千万円だわで、物凄い金額が動いてるわけだが



コンドームは1000円位で買えるんだな。

初めてだしせっかくなら高い方が良さそうな気がする


それに0.03だか0.01だか知らねーが薄すぎると破れちゃったりしないの? 厚い方が良いのでは?

LとかSとかも分からねーし。俺ってサイズはどうなの?

ってか標準サイズってどんなよ??


みんなこういう経験をして大人になってるのか。

大人ってすげー!


 


おっ これは良さげじゃないのか。


極厚ごくあつでフリーサイズ。

良いのあんじゃねーか!!

これだよ、これ。こういうので良いんだよ。


強力イボ付き強力スキン書いてあるけど、強力を2度押ししてくるってことは、そうとう破れにくいってことだろ? 

他より3倍位高いが初めが肝心だからな。金に糸目はつけねーぜ。


キミに決めた! ポチッとな


強力イボ付きスキンお買い上げ!

中身はバレないように届けてくれるみたいだし、あとは待つだけだな。


花火大会のあと、アイリをどうやって誘うかだ。

もはや俺のメインは花火大会にあらず!



最終章 完


ここまでお読み頂き本当にありがとう御座いました。完璧にペース配分ミスりました!!


あと、数話だけですが真・最終章の延長線に入ります!! お付き合い頂ければ嬉しいです!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る