何かモテ(略)/レースにて
着いた頃には表彰式さえ終わっていた。完全な遅刻だが、俺は選手ではないので問題ない。行けたら行くという約束だったし。人混みをかき分けつつうちの大学のテントを探す。恋人のハナちゃんはやはり学校と同じくあっちいきこっちいき忙しそうだ。
救急箱を持ったと思ったら、一匹狼で有名な先輩に話しかけた。女嫌いの噂もあるのに大丈夫かとヒヤヒヤする間もなく、先輩は傷がある腕を恋人に差し向ける。彼女は慣れた手つきで手当てを始めた。用が済んだ救急箱を今度は先輩が手に取ったと思うと、近くの机に置いてハナちゃんの膝に頭を置いた。俺だってまだ一回しかしてもらってない膝枕。
恋人に髪を撫でられ、気持ちよさそうに目を瞑る。普段のツンケンした表情と態度からは想像もつかない。日向ぼっこして眠りに入る寸前の猫のようだ。「続けろ」と甘えるように恋人の手に自分の手を重ねる。見咎めた部員が何かいうが、先輩は起き上がる気配はない。
……もしこの場で大々的に俺達の関係を公表したところで、ハナちゃんに群がる獣が諦めるのか、もう自信がなかった。
なんか勝手に逆ハーレム 狂言巡 @k-meguri
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