第27話 幼馴染 1
彼は今年で50歳になる年齢差のある幼馴染だ。
理由は三兄弟ともが、父の病院の患者だったためだ。
私と同級生は真ん中の男で、一番下の子と50歳の長子とでは
相当な開きがある。
彼は私の母親に対して、
彼の弟たちも同じく、私の母と親しい。
そして、彼らの父は私の祖父が議員になった時、彼らの父を応援した。
その繋がりを知ったのも、私たちの父が死んでからだ。
我々は子供時代からお互い、警戒し合っていた部分がある。
一番上の幼馴染は、毎年1,2回ほどうちに絶対に来ていた。
そして、毎年、何故、我々の家族が互いに嫌い合っているのかを
尋ねていた。私の弟にとって自分の中にある多重人格以外で話をする
唯一の人だ。私たち兄弟喧嘩はよく見てきた為、不仲なのは知っていた。
しかし、彼は父母の仮面の下の本当の顏に、気づく事無く生きていた。
何故、不仲なのかと、私も何十回も聞かれた。
しかし、言える訳も無く、仮に言えば相当な圧をかけてくる事は明白だった。
弟と父との仲は、お金が欲しい時だけ話しかけてくると父は言っていた。
しかし、母に対しては毛嫌いし、気持ちが悪いと言っていた。
私と弟の唯一の接点は母のそのおぞましさにある。
嘘を平気で言い、陰口を家政婦さんたちに話し、いつも何かを企んでいた。
そして父は死んだ。これによりようやく話せる事になった。
母一人では何も出来ない。父がいるから母はその権力を使い悪事を働いていたが
父がいなければ、ただの腐ったクソ婆だ。
ここでようやく真実を幼馴染に言ったが、全く信じなかった。
そして私が思うよりも、遥かに頭が悪かった。私は頑張る人間は応援する。
しかしもう50歳だ。私はカウンセラーさんにも相談したが、
もう無理だと言った。無駄に頑固な頭で、もう完全に変化しない固形物
のようなものだ。保健士さんにも相談したが、ああいう人には何を言っても
無駄だと言われた。私の分析でも確かに無理なのは分かっていたが、
多くの人たちを見て来た二人に、可能性をかけて相談したが、無駄だった。
お互いの父が死に、心を隠さず話せるようになり、その頭の悪さを私は知った。
彼は逆に私の賢さに驚いていた。それは慣れているのでどうでいいし、
彼のような人間を普段、私は友人にしない。
彼は楽しいと言っていたが、当たり前だ。知らない事を知れるのだから。
彼の夢は
お金持ちになりたい。彼はそう言った。
人生のなかばを過ぎた人間が言う事なのだろうか。
私は彼よりも4,5歳年下だが、もう遥か前から一定の友人たちと
我々の後釜の話をしていた。我々の時代には日本の危機は迫らないと
分かったからだ。我々よりも1つか2つ後の世界では日本は揺らぐ。
その為に色々な知識を身につけ、そう言った友人たちと年に1、2回会い、
絶対に今度は勝ったと思いながら皆、集まっていた。
それぞれが、皆、向上心の基、成長を果たしていたからだ。
私は昔そうしてお互いを成長し合った。
しかし、幼馴染は、50歳にして今年初YouTubeを見た程、
時代遅れもそこまで行くと声も出ない。
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