第24話 自分 5

私はもう死ぬのではないかと思うほど、心身ともに酷い状態であった。


今もいいとは決して言えない。


こうして書いている間にも、隙間から記憶を導き出すと感情も多少は出て来る。


しかし、感情というものは忘れやすい。忘れやすい事を私は知っていながら


忘れきれない痛みが体中をむしばみ続けている。


自分の世界観を広げなければならない。


私が通っている病院の前には、カトリック教会がある。


前から気にはなっていたが、最近ネットで調べてみた。


出入り自由だと書いてあり、私は出来る限りは過去に戻らないほうがいい。


故に今書いている事も、体を考えれば良くはない事である。


しかし、自分が嫌いな時でも、相手がどんな悪党でも、


前に進まなければ、未来はない。


それだけはハッキリと分かる。


私は今度、協会に入ってみようかと思っている。


毎年、季節は訪れる。温暖化で変化があからさまになってきてはいるが、


季節も頑張るように、花を咲かせ、散っていく。


負の感情に打ち勝つ度に思う。高鳴る鼓動のように今回もしのぎ切ったと。


敵は強いほどいい。私は死にかけたが、それでも強敵を求めている。


雑魚の相手は意味が無いからだ。当然、これは比喩である。


今はどんなに頑張っても、この頂きは見る事さえ出来ないほど高い壁だ。


そういう時は他の事に手を出すのがいい。


今がまさにそうだ。


私の脳裏に染みついて、離れない事は多くある。


今思い出しているのは、ある兄弟の話だ。


兄も弟も知っていた。話したこともある。ただ別の小学校だった。


塾でしか会わない塾仲間だった。


私が小学校何年生だったかは性格には覚えていないが、


4年か5年かだったはずだ。


今とは違い当時、私の家は別だが、塾に通う人はそれほど多くは無かった。


家が医者や、大きな会社や、勉強を推奨している親を持つ子供たいだった。


その日も普通だった。


通い、学びたくも無いものを学び、帰り際に話をする。普通の日常だった。


私がここで話している事は、全てが真実だ。


次の週、兄は塾に来なかった。そして弟も塾には来なかった。


私は親にその話をした。


母は、風邪でも引いたんじゃないかと言った。


しかし、その次の週も来なかった。


そして何周目かは覚えてないが、弟が塾に顏を出すようになった。


私は大学教授の叔父に会いに行った。


母親が嘘つきなのは、既に知っていたからだ。日常の会話でさえ


平気で嘘を通し、自分というものを見失っていた人間だった。


そんな人間が、ありきたりな理由を言うと言う事は嘘をついている。


自転車で10分ほどの距離にあった大学へ、私は行った。

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