錬金術を極めしもの~Successor of Mars〜
アラタムMAX
序章 動き出す歯車
・・・・・・・・
火星とある地下遺跡
ウーーーーーーーーン!
ウーーーーーーン!
けたたましい警報が鳴り響く
『何か大きな動きがあったようだな。だが、少し時期が早い気がするが…』
「だとしてもだ。そろそろ、ヤツも動き出す頃だろう…」
男が何もない空間へ話しかける。
少し、暗めな空間には大きな戦艦のようなシルエットが確認できる。
男の近くには魔法装甲のような影もあった。
『この艦はなんとか間に合ったが、お前の装甲は…』
「とりあえず、俺だけでもこの艦は動かせる。お前のサポートがあればな…ヘーパイストス」
『そうだな、そのために私をこの艦のメインシステムに組み込んだのだったな。だが、どうするつもりだ?このまま地球へ行くのか?』
ヘーパイストスの問いかけに、少し考える仮面の男。
「地球の事も気にはなるが…。ヤツがこちらで動いているのであればあいつの計画を止める為にもこちらで暴れた方がいいかもしれないな」
『だが、お前の新しい装甲は未完成だ…。それに、今使えるのはお前の装甲の動力部を移植してオーバーホールしたとはいえ、火星の初期型の装甲だぞ?現在の火星の正規軍の装甲にはかなり劣る性能のものだ』
「大丈夫だ、そこは腕でカバーしてみせるさ。実戦経験において火星の連中よりはかなりあるしな」
そういって、装甲に乗り込む。
『どうやら、お客さんのようだ…』
数人の火星の住民…軍服や作業着のようなものを着ている人が室内に入り込んでくる。
「ここが、遺跡の最奥?ここに軍と渡り合えるものがあるの?」
扉を閉め、ロックをかけると、軍服を着た女性が辺りを見渡している。
「メイナ殿!あれを!」
執事のような恰好をした1人がアスラを指差す。
「皆さん、あれに乗り込みましょう!追手はすぐそこまで来てるはずです!」
「私は姫様に連絡を!」
全員が走り出そうとした時、銀色の仮面の男の装甲が剣を抜きそれを阻んだ。
『何者だ?お前たちは?』
「しょ、初期型の魔神!?動くの!?」
「ま、まさか正規軍が先回りしていたなんて…」
「こちらは遺跡の最奥に辿り着きましたが…何者かが先に…うわっ!」
剣を避け、歩こうとしていた執事の格好の男を阻むよう剣を再び移動させた。
『何者かと聞いている。返答次第ではお前たちをここで殺す』
装甲に乗っている人物の殺気を感じ全員が固まってしまった。
少し時間が経つと、扉の奥が騒がしくなってくるのがわかった。
『扉を壊せ!壁を破壊してでも侵入するんだ!』
『反逆者共をとらえろ!』
ドンドンと何かを破壊するような音と、振動が室内に響いてくる。
「お願い、時間がないの!貴方が何者かはわからないけど…。私たちに戦う力を頂戴!」
『…何故、力を求める?』
「知ってしまったから…。軍がしてきたことを…民にしてきたことを…。止めたいの!」
「自分たちの力は微々たるものだということはわかっている!」
「王に進言した時に処刑されそうになった私たちを救ってくれた姫様が…。その姫様が兄である王の計画を止めるために立ち上がったんだ!」
「少しでも力になるために!」
『…わかった。全員あの艦、アスラに乗れ!露払いは俺がする!』
その想いを理解したのか、男は入ってきた全員をアスラへ乗せる事にした。
それからすぐ、アスラから通信が入る。
『良かったのか?』
ヘーパイストスから聞かれるが、男はフッと笑みを浮かべる。
「1人でやるつもりでいたが…。どうやらそうもいかなくなりそうだ」
そう言うと、壁を破壊して侵入してきた正規軍の装甲に向かっていく。
『旧式の装甲?笑わせる!』
『破壊してくれる!』
攻撃してきた正規軍の装甲達を次々と撃破していく。
アスラにてその光景を見ていた一同は驚いていた。
「この装甲、思った以上に動いてくれるようだな」
旧式の装甲に撃破されていく仲間を見て、正規軍はじりじりと後退りしていくのだった。
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