名作を見つけてしまいました!
広く皆様に読んでいただきたいな。
完結して久しいですが、歴史の海ならぬ、「カクヨムの海」に埋もれていくのは、あまりにもったいない物語です。
前後、二話完結で、歴史の、料理にちなんだ、主に有名人の名場面でなく、その裏で、あったのではないか? と思える日常の一コマを切り取ります。
いろんな、家族があります。
いろんな、人生が、あります。
ここにあるのは、人生です。
毎話、読むのが苦しくなるほど、人生が詰まっています。
歴史の荒波。戦争や天災などは、歴史のなかで、多くの人を大波でかっさらっていったからです。
大切な人を失い、喪失を胸にかかえ、帰ってこない人をしのびながら、それでも。
人生は続く。
人は回顧する。
あの人がいた、幸せな一時を。
あの人と食卓を囲んだ、もしくは、一緒に料理をつくった、その時を。
ああもう、心が一杯です。
どの話もクオリティが高く、それが毎話続く。驚嘆です。
料理の意外なトリビアもあって、面白いですよ。
おすすめです。
ぜひ、ご一読を!
まず、タイトルがいいじゃないですか。
『語られぬ物語』。
歴史に名を残したあの人や、知る人ぞ知るあの人の、もしくは名もなき民の、とある日の食事風景が生き生きと綴られた短編集です。
登場人物の描写や語り口から感じ取れる、当時の息吹。この雰囲気がまた、いいんです。そこにあるのは家族のふれあい、友人たちとの語らい、日々の小さな喜び、悲しみや、葛藤。つまりは、日常。
歴史の授業で習った大事件の裏側にも、現代の私たちと同じくこまごまとした愛すべき営みがあった。歴史とは教科書で読むだけの切り取られたものではなく、日々の連なりであったのだと改めて感じられます。
毎回、お題となった料理に関する蘊蓄や歴史などを楽しく学べますし、全話通しての構成も見事です。
ぜひ、いや絶対に読んでみて欲しい作品です。本当に面白いから!!
どんなメニューにも始まりの時があり、これまでに受け継がれてきた歴史がある。
それぞれの物語を生み出しながら、人々の思いを乗せて、変わったり変わらなかったりしながら続いていく。
そんな「料理の歴史」を、改めてを味わわせてくれる作品がこちら。
各メニューにまつわる物語を、豊富な知識に味のある人情を乗せて、一品一品、大切に紹介してくれます。
次はどんなメニューのどんな物語が運ばれてくるのか、ページを捲るたびに楽しみが募ります。
どんなメニューも、大切に受け継がれてきたからこそ今がある。
食べ慣れたあのメニューの歴史、この機会に覗いてみませんか。