第9話 反撃

「はぁ、はぁ…。一部受け流しているとはいえ、なぜ、これだけ狂戦士スキルで強化した私の攻撃を受けて立っていられるのだ?」


女騎士は、しだいに違和感を感じ始めていた。


「はぁ、はぁ、はぁ…。」


…戦闘に夢中になっていてわからなかったみたいだな。やっと、お前のステータスに近づいてきたよ。…


【カシム=オーウェン】

人族/10歳/レベル12(+6UP!)/経験値00

ダークメイジ/成長率SSS

HP:15/32(+12UP!)

筋力:23(+12UP!)

魔力:23(+12UP!)

防御:23(+12UP!)

速さ:23(+12UP!)

わざ:23(+12UP!)

武器:ダークアロー(15)、インセクト(8)、鉄のナイフ(8)、パラライズ(10)

防具:平民の服、魔術師のローブ、鑑定の腕輪、皮の鞄、天使の指輪、鑑定阻害の指輪、朱の宝玉

スキル:エリート(経験値10倍)


…本当に危なかったな。それにしても、攻撃を受け流す度にナイフの耐久力が減る設定は、ゲームでは無かったぞ。…


「な、なんなのだ?戦いの中で尋常じゃないスピードで強くなったというのか?あり得ないッ!ダメージも蓄積されていて、どんなにHPがあっても削りきっていたはずッ!」


…天使の指輪がなければ、もうダメかと思ったぜ。さぁ、反撃の時間だ。…


―ダークアロー(闇魔法)―


23本の闇の矢を前方に展開して待機させる。


「また、ダークアローで壁をつくったかッ!もう手加減はしないぞッ!奥義発動ッ!―天昇―」


女騎士は持っていた槍に竜巻を纏わせ、渾身の突きを放つ。


…―天昇―は、ペガサスナイトLEVEL-20以上からクラスチェンジすることで覚える初級奥義。攻撃力又は防御力を2倍にする強力な技だが、一日に2回しか使えないという使いどころが難しい技。これで、2回使い終わったことになる。…


!!!ガギンッ!!!


女騎士の渾身の突きが、ダークアローでつくった壁に激しくぶつかる。


…よしッ!大分威力を軽減できたッ!これなら、最小限のダメージで抑えられるッ!…


ズシャッ―


ダークアローでつくった壁が槍の威力を軽減し、ナイフを使い軌道を反らして直撃を避ける。


…痛ッ!さすがに、奥義は防ぎきれないか。だが、左肩に被弾したがダメージは軽いッ!…


反撃行動を取ろうとしたとき、女騎士の身体が一瞬輝いた。


「まだだァァァァッ!スキル―追撃―発動ッ!」


女騎士の竜巻を纏った渾身の突きが再度繰り出される。


…チィッ!10%確率で追撃スキルが発動したか。…


「アッハッハァァァァッ!天は我に味方したようだッ!メリクルの仇ぃぃぃ…ぎゃぁぁぁぁ…なんだ!?この蜂どもは?」


女騎士の顔に夥しい数の蜂がまとわりついた。


…こっちにも最強の切り札(インセクト)があるんだよ。…


「クソォォォォッ!こんな虫ども…ぐぅぅぅ…か、身体がいうこときかない!?…麻痺毒か?」


女騎士の身体が一瞬硬直した。


『やれやれ。ようやく隙をみせましたな。世の中には、このような強者がいるとは…。いやはや、自分の弱さを痛感しました。渾身の毒が一瞬しか足止めできないなんて。』


ブラックサンダーは、女騎士の背中に毒針を刺すのに成功していた。


「ナイスッ!一瞬だけでも十分だッ!最高のタイミングッ!」


すかさずパラライズの魔道書に持ち替える。


―パラライズ(闇魔法)―


黒い霧が女騎士を包み込むと、女騎士は地面に倒れ込んだ。


「こ、これは麻痺魔法!?ぐぅぅぅ…。」


…良しッ!LEVEL-12でようやく使えるようになった自分の魔力よりも低い敵を3ターン麻痺させるパラライズが効いたな。ブラックサンダーの麻痺毒と合わせたら、しばらくは動けないはず。…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る