第5話 改変の代償について恋歌に聞く
放課後になり、入れ替わり学園生活の初日も終わりを告げそう。
私の体のお兄ちゃんは疲れていた。
お兄ちゃんの体の美優お姉さまも疲れていた。
同性入れ替わりの私は特になんとも無い。
「元に戻りたいよ。」お兄ちゃんは男に迫られて泣きそうになっていた。
「体が痛いよ~。」お姉さまは私が痛め付けたので泣きそうになっていた。
「相手が許嫁だったら技を掛け放題だし、中身がお兄ちゃんじゃないし、技の威力が低いから死なないのはいいな。」
相手が変態なので容赦なく、暴力を振るう許嫁になった私。
「美優お姉さま。もう一度、世界を変えたら、戻れますかね?」
お兄ちゃんが元に戻りたがっているため、聞いてみた。
「無理だな、私は今、悟くんの体だから力の行使が出来ない。」
それもそうか…。じゃあ私なら出来るのかな?
「今はお姉さまの体だけど、私は力の使い方、知らないしな~。」
そこなんだよ。私は美優の体をほとんど知らない…。
「そんな~。俺はこれから毎日、男に口説かれ続けるのか?」
私の体でモテるアピールしやがって、私はその体で口説かれた事が無いよ?
「悟くんはマシだよ、私にはこの暴力的な許嫁がいるんだぞ。」
私を見ながら言ってくる。お姉さまが変態行動するから悪いんだよ?
「私はお兄ちゃんの体の美優お姉さまでいいですよ。性のお相手もしますし、その代わり新技の実験台になってもらいますけど…。」
私はどうせならこのままなら、相手が決まっている方が楽だった。
「だから、お前はモテないだよ、純。配偶者をなんだと思っているんだ?」
強姦しようとした、変態に言われたく無いな。
「無理矢理女性を襲おうとする変態には言われたくありませんよ。」
私とお姉さまはそもそもが似すぎていて、合わないみたいだ。
「二人ともケンカを止めろよ。」お兄ちゃんが止めたが、
「お兄ちゃんには言われたくないよ?完璧にモテる女子やってるし、一番幸せな入れ替わりパターンだよね?」
女性生活初日からモテまくる兄にキレた。
「そうだな、私はお前の見た目がこんなにモテないとは、思わなかったぞ?そもそもお前の優柔不断が招いた種なんじゃ無いのか?」
お姉さまもお兄ちゃんに不満があるらしい。
「元に戻った方が上手く行くかもな、お互い…。」お兄ちゃんは呟いた。
そんな事を行っても始まらない、私は恋歌お姉さまがいる、柏野家に帰ることにした。
「私は柏野の家に帰ります。美優お姉さま、お兄ちゃんを襲って浮気しないでくださいね?したら…分かっていますね?新技を使いますよ?」
そう脅したあと、体の美優の家に帰る事にした。
柏野の家に帰ると執事の方が対応してくれた。
「美優お嬢様、お帰りなさいませ。旦那様たちはドバイへ向かわれました。」
美優お姉さまはお金持ちの家なのにあの品の無さなんだ…。
「ありがとう、恋歌お姉さまはいつ頃、戻られますか?」私が尋ねると、
「もう間もなく戻られます。それまでは、自室でお休みください。」
執事さんにお礼を言うと、私は美優お姉さまの自室に入った。
広いけど、殺風景だ。彼女は息苦しい生活だったのだろう。でも、あそこまで弾けた性格をしているのは良くないな。分からなくないけどね…。
片づけをして可愛く改造してやろう。しばらくは、私の家で部屋だからね。
「美優お嬢様、恋歌お嬢様が戻られました。」メイドさんが呼びにきたので、
お礼を言い、恋歌お姉さまに今日の出来事を話すことにした。
「恋歌お姉さま、お帰りなさいませ。」私がお姉さまの自室に行くと、
「美優、私の自慢の妹になってくれたな。私はお前が妹の方がいい。」
お姉さまに気に入られている私は愛でられた。
その後、入れ替わり初日の事を話すと…美優お姉さまの行いに大激怒なさっていました。しかし、想定内だといい、男女の感覚の入れ替わりにある危険性についてと元の体にある、潜在意識について語ってくれた。
「女が男の欲に耐えれないように、男も女の欲に耐えられないはず、そしていつしか、性別違和が無くなり順応していくはずだ。つまり、美優と悟吏は人格崩壊を起こし、欲に耐えれず、互いが何者かを忘れるだろう。」
やばいな、それは…。
「だから、過去改変などをやってはいけないのだ。人間は欲に負ける生き物だ。」
私は事の重大性を知り、報告しようと連絡したのだが、二人とも、繋がらない。
「二人とも、繋がらないな。夜も遅いし、明日話そう…。」
この時、もう少し早く行動していれば良かったとのちに私は後悔した。
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