VS唯奈 終

どれくらい時間が経っただろうか。


もう陽も落ち始めている。部活動に励んでいる人たちももう帰れる時間帯になってきたんじゃないだろうか。


カチ,カチという針の音だけが教室に響いていると唇を震わせながら唯奈は口を開いた。


「違う、違うの、私はただ涼が好きで」


「うん。」


「私だけを見てほしくて、一番になりたくて」


「そうだね。そう言ってた。」


「でも、全部間違ってた。」


「僕もダメダメだった。」


「優しさに甘え続けてたんだ。私。」


「そうなのかな。僕が意気地なしで何も考えずうん、うん言ってたからかもよ。」


「あ、それよ。ほんと、嫌なら嫌って言わないと。」


「嫌って聞くと思う?あの頃の唯奈が。」


「ふふ。絶対ムリ。だってお姫様だったもの。ワガママ姫。」


「でしょ。でもお姫様のいう通りにしかしなかった僕にも責任があるんだよ。」


「ううん。そう言ってくれるのはうれしいけど。最後くらいちゃんとする。」


穏やかな雰囲気に包まれ、今にも泣きだしそうな唯奈が僕の手を離して言った。


「今までありがとう。それとたくさんたくさんごめんなさい。もう、邪魔しないから。」


「あぁ。今まで、嫌なことばっかだったけど、でも、それでもありがとう。さようなら。」


コクリと満足気に頷き、泣いていたのか、涙をぬぐった。


俺とのことが終わりスッキリしたのか、涙交じりに笑う彼女になんだか懐かしさを覚える。


「それと、健司君。ごめんなさい。」


唯奈はは沢田の方へと向き直して言った。


「なんで、謝るんだよ……。なぁ、唯奈、俺は……。」


「私やっぱり涼のことが好きなの。ずっと。多分これからも。」


ま、叶わないんだけどねと言いながら続けていく。


「最低なの、人の好意を踏み潰したクソ女なの。だから健司くんにはもっと素敵な人が側にいるべきなの。」


「だから、別れましょう。」


沢田にとってそれがどれほどのものなのかはわからないが、想っている相手から別の好きな人間がいるから別れようと言われるのはどれほどつらいものなのだろうか。


沢田はずっと口を閉ざして下を向いていたが、何度か俺や唯奈の顔をみたあとしばらくして決心がついたのか口にする。


「本当はさ、いやだ…。別れるなんていやだ!!!って言いてぇよ。……けどさ、今は俺がわがまま言っても困らせるだけだって、それもわかってんだよ……。だから、わかった…。」


「うん、ほんとうにごめんね。ありがとう。」


「あぁ……、でも俺が唯奈を好きなのは変わらないからな!!俺との時間が全部嘘だったなんて、それだけは違うって思ってるから!」


「も~、絶対私なんかよりもいい人いるのに…。でもありがとう、とっても嬉しい。さてと、私もう帰るね。…ほんとにごめんね。それじゃ。」


トタタと逃げ帰るように去っていく唯奈を横目に見送り、朝日からもらったティッシュで鼻をかんでいる沢田が俺も行くといって教室を出ていった。


すべてが終わった安堵でふぅと一息つく。


「これで終わりだな。」


長かったこの関係にやっと終止符を打てた。

本当は自分が受けた苦しみを全部ぶつけてやりたかった。


高校に入ってから裏切った唯奈のことは大っ嫌いだ。でも、僕と今まで一緒に過ごしてきた唯奈のことがどうしても心から嫌いにはなれなかった。


これでいいんだ。僕も俺だから。


「よっし!涼真今日は奢ってやるから何でも好きなもん食えよ~??」


心の整理をつけていたら朝日が俺の肩を組んで言う。


「お、言ったな。じゃぁ小春たちにもそう伝えとかないと。」


「え、ちょっと!?俺まさかの4人分会計すんの!?」


「いやいやぁ、俺の分出して女の子の分払わないのはないだろ。なんだ、口だけか?奢ってくれないのか?」


「んなっ!!!上等だこら!!金なんてこういう時のためにあんだよ!!!!」


他愛もない会話が心地いいと感じてしまう。ずっと朝日の存在には助けられている。

本人が調子に乗るから言わないけどな。



俺たちは待っている二人のところへと向かう。



これからの未来が変わったのを確信して。




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期間空きすぎてなにかいてたかわかんなくなりますね。


人によってはすっきりしないかもです。

でも期間を空けて思ったのは、若さっていいなって。

結局私が生み出した子たちへの愛着がね、ありました。



沢田への制裁は、優しく自分はいらないとフラれることにしました。

希望・期待・チャンスが目の前にあるのに、決して届かない。


叶わない,難しい恋をしている人はわかると思います。


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