第34話

「弥生! なんとしても、零をあいつらから守ってやるんだ!! 親父からそう言われたんだよ。……俺」

「ええ……私もよ。母からそう聞いたわ。零には料金を後で払ってもらわなきゃ! っね! ああ、この新しい刀。鬼斬丸を母から借りられるなんて、斬り甲斐あるーーー!!」


 ぼくは起きて即座に生体電流を収束させた。けれど、途端に自分の身体のことを思い出して真っ青になった。


「そういえば?! ぼくの腹部は? 大怪我をしたはずだ!!」

「大丈夫よ……。すでに癒したの……」

「奴隷の書か!!」

「怪我をしたらすぐに癒してあげるわ!! さあ、行って!」

「よし!!」


 ぼくは宙に浮いた。

 魔術師たちは大津波や弥生たちによって、その数が減り。今では10人ほどだった。

 いずれも空中から弥生たちと応戦していた。


「零!! 真上よ!! 気をつけて!!」


 弥生が発した警告で、ぼくは空中で真上に、顔を向けずに掌をかざした。

 瞬間、商店街全部に光が行き渡り。耳をつんざく轟音が轟いた。


 空気を生体電流によって、瞬時に用意した掌の閉鎖空間に閉じ込め。その圧縮による急激な化学反応を起こした爆裂系の魔術だった。


 衝撃で地面のタイル全てにヒビが入り、爆風で道路の脇の常緑樹が全部吹っ飛んだ。


 建物や仲間の白花たちは、当然強力な魔法障壁で守っていた。 


「す……凄い!! 零くん!! 新しい魔術書に選ばれたのね!!」

「なんなの? どうやったの?」

「……すげーぜ! 零!!」


 周囲の光が消えると、後に埃だけが舞う。

 魔術師たちは生体電流で防御したようだが、全ての魔術師たちは影も形もなく消し飛んでいた。 

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