第十三話 ギルド

リラと一緒に寝た。

…あんまり眠れなかった。

うん。分かってた。分かってたけどさ。

女の子と寝たことなんて、母さんぐらいしかないんだよ。

全然寝た気がしない…。

まぁ、結局一緒に寝るのを許可したのは自分だし、どうしようもない。

リラに朝ご飯のパンと簡単なサラダ、コーンスープを出すと、美味しそうに食べてくれた。まぁ、この笑顔が見られるなら、いいかな。

ご飯を食べ終わり、支度をしてギルドへと向かった。

外に出ると、やはりリラは何にでも興味を示す。

矢継ぎ早に飛んでくる質問に答えるだけで疲れた…。

だが、今日はまだ始まったばかり。頑張らないと。

そうして、やっとの事でギルドに辿り着いた。

ここまでどれだけ寄り道をしたか…数えたくない。ヤダ。もう。

そんな、もうすでに疲労感たっぷりの僕を見て、セイラさんが心配そうに声をかけてきた。

「どうしたの?そんなに疲れた顔をして。なにかあった?」

とても困り顔だ。まぁ、そうもなるか。この人めっちゃ優しいもん。

セイラさんは、この街で唯一信頼できる人だと僕は思っている。

流石に頼ることはできないけどね…。

「いやぁ、まぁ、ちょっと、色々ありまして…。」

そう言ってリラのことをざっくりと説明した。

「あらあら。それはまた大変なことに首を突っ込んだわねぇ。」

と、またまた困り顔で言われてしまった。

確かに、大変なのは事実だ。今だって、リラから少しでも目を離せば何をしているか分からないし…。

「それで、今日は何をしに来たの?」

セイラさんに言われて、ギルドに来た目的を思い出した。

うっかりリラのことで終わるところだった。危ない。

「ああ、そうだ。チーム申請をしに来たんですよ。確か二人から出来ましたよね?」

僕が確認すると、

「ええ、出来るわよ。」

と、セイラさんが答えた。

「じゃぁ、『星屑ペアレント』っていう名前で、申請していいですか?」

リラがどっか行きそうなのを引っ張って止めながら言うという変な状況だけど、セイラさんは普通に会話を続ける。

「もしかして、相方はその子?」

と、リラの方を見て言う。

「あ、はい。そうです。」

そう答えると、セイラさんは不安そうな顔をする。

「その子、大丈夫?記憶喪失で戦えるの?いくら戦いの記憶があるとはいえ、大変でしょう?」

まぁ、セイラさんの言うことはごもっともだ。記憶があるというだけで戦いに連れて行くのはおかしいよなぁ。

「ああ、多分大丈夫ですよ。リラは、動きがヤバいので。アタッカーの動きなので。完全に。」

そう、ギルドに来るまでに、リラがどこに行ったか分からなくなることが何回あったか分からない。足早い、動き早い、色々早い。

僕のスピードじゃホントに追いつけないからなぁ…。

これからが思いやられる。






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最強ヒーラーは最強アタッカーに出会う 黒白ノ巫女 @kokubyakunomiko

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