第34話 悲劇の前 王妃のプチ・トリアンノンでの愉しみと戯れ

其処は小さな楽園、緑溢れた小さな造られたもの 絵画のようなオアシス


フランスの王室 重苦しい儀式の数々に

気難しい王室、貴族達からの重苦しい軋轢から逃れた人間としての愉しみごと


代々、長らく続く皇帝位を持つオーストリアのハプスブルグ家の皇女

少しばかり勉強が苦手で楽しい事が好きな少女だったマリー・アントワネット


気位の高い処もあるが 人間として、女性としての喜びをそこで見つけたのだった。


小鳥のさえずり、日の光を浴びて 緑の中で時には牛やガチョウに触れて

特注の建物の中で 特別な自分だけの取り巻き達と演劇なども倒しむ。

女優のように舞台に立つことも‥


「ああ、新鮮なミルクがこんなに美味しいなんてね」

特注の綺麗な器に入ったミルクの味に美貌の王妃が微笑んだ。


「そうですわね王妃様 とても貴重ですわ」「王妃様、今度の舞台の演目ですが‥」


「此処はお爺様のルイ14世陛下が造営されたものを私達が手を入れて‥うふふ」

マリー・アントワネット王妃

すると其処に

「王妃さま フェルゼン様が‥」「まあ、来られたのね」


多くの時間を‥愉快な愉しみごとに費やし、耽溺してゆく


それは本来なら嫁いだ豊かなフランス王家の者として‥享受

相応しく気高くあれば、それでよかったはずだったかも知れない。

赦されるはずだった 彼女、彼等からしてみれば選ばれた者だと


だが、数百年以上続いた戦争の数々の莫大な戦費に

ベルサイユ宮殿の造営などの巨額な費用

この時代の気候に影響する小さな氷河期に 遠い地の火山の噴火

そうして起きてしまった冷害などの被害から来る飢饉


飢饉…更には大きな税金



・・・・彼女には

母親で、女帝と呼ばれたマリア・テレジア

優秀な父親の皇帝フランツ 

そのような類いまれな才覚と名君としての才能には恵まれず

二人は苦難の時を生きた。 

本当は座する君主の座が危うい者を知っている。


元は長年の仇敵だったオーストリアハプスブルグ家の皇女としての立場



順番が変わってしまった 

本来なら姉の皇女が嫁ぐはずだった とても賢い姉が‥


小さなことだったはずの

破裂する危機が積み重なる‥せめて、逃げるべき時に逃げる事をせずに‥。



そうして‥革命という大きな嵐がやってくるのだ。

彼等を食らい尽くす闇が襲い来る。

人間としての尊厳さえも‥



運命‥時代の生贄だったかもしれない。

悲劇の王妃に相応しい威厳と‥そこで その断頭台という処刑の舞台で

ある種の喝采を浴びて‥血の海で幕は閉じるから



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