第14話 組み立て - perspective B-1
西村、石橋、藤井の三人、夏目大学翼研究会のOBであり吉田の後輩である、そして佐々木は深夜に車で大河原飛行場へ向かっていた。西村が中古(といってもかなり程度の良い)SUVを購入したのでそのドライブでもある。といっても吉田先輩からのテストフライト支援の要請なので断る理由はない。
西村は吉田の二つ下、中川の一つ下の後輩である。学科が同じだったので一年生の時、吉田にはいろいろと面倒をみてもらった関係がある。主に学校での暮らし方の方で。吉田先輩が現役時代に人力飛行機に熱心で無かった、とは言わないけれども、運営の役職ではなかったので社会人チームを立ち上げた、という話を聞いたときはちょっと西村は意外であった。しかし前回手伝いに来て、できあがってきた飛行機をみると、出身チームの機体に比べ、無駄が少なく軽量そうである。パイプの相関一つみてもだいぶ綺麗になっている。吉田先輩は自動車メーカーに入ったと聞いているけど何も仕事の関係で技術が向上するものではないし、どうしたのだろう。西村はTiny Flippersがどういう活動をするのか興味を感じている。
西村の車は大河原飛行場の入り口に到着し、西村は吉田に電話する。
「吉田先輩?今到着しました。」
「ああ、入り口についた。分かった。中川さんに迎えに行ってもらう。」
さてと、今日は中川先輩来ているのか。前回組み立てぐだぐだだったからなぁ。今日は安心して出来そうだ。
「ちょっと外の空気吸うか。」
西村は車を降りた。
まもなく土手の上に車のライトの光が見え、止まった。人影が車からこちらに向かってくる。中川先輩だろう。
「中川先輩、お久しぶりです。」
「今日はありがとう。助かるわ。」
「吉田先輩の飛行機は楽しみにしていますよ・・・中川先輩も前回会えなかったし、競技会もいらっしゃらなかったですし」
中川先輩は今日は髪をまとめているな。テストフライトだしな。
「滑走路の場所は分かる?今日は奥側よ」
「はーい」
さて、奥側か。東風予測か。9月のテストフライトは初めてだけど、どうかな。砂利道を進みながら西村は考えていた。
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