20 ラッキー映画劇場
私の生まれ育った所は、田舎でしたが、小さい頃には映画館もありました。
その名は『ラッキー映画劇場』でした。
その頃の映画館は、入場料を払えば、出入りは自由で、上映中は一日中居てもよく、何度も観る事も可能でした。
客席の前の大きなスクリーンに映写機によって作品が投影されていました。
客席から後ろを振り返ると、後ろの壁の上部に小窓があり、その向こうには映写室があり、そこから、バーッと光が出ているのが見えました。
フィルムで上映していたので、そこには数人のスタッフが働いていました。
なので、その小窓から人がいるのが見える事もありました。
私は、映画が始まってからも、その小窓から映し出される映像の仕組みが不思議で、よく後ろを振り返って見たものです。
巨大なスクリーンで観る映画は、物珍しくもありワクワクドキドキしたものです。
その頃の映画は「007」シリーズ、「ワタリ」「風の又三郎」「怪獣大戦争」などがありました。
いくつか観た映画の中で、私は「ぼくどうして涙がでるの」(1965年10月公開の日活映画)という映画が今でも忘れられません。
心臓病という難病と闘うやり切れぬ思いに日増しにやけっぱちになっていった主人公の紀子(23歳)。そんなある日病院の廊下で息苦しくなった紀子は「お姉ちゃん大丈夫?」とある少年に声をかけられます。
その少年(6歳)も先天的な心臓障害を背負っていて、手術は難しく成功例はあまりない重症患者でした。それなのに彼は底抜けに明るく、彼の無邪気さや人懐っこさは、ふさぎがちな病室の空気を一掃していきます。紀子の心も段々と前向きになっていくのです。そんな少年との触れ合いを描いた珠玉の感動作です。
一番心に残っているのが、その少年が手術室に入る前に、スーッと一筋の涙を流し「ぼくどうして涙がでるの?」と言ったシーンです。
いつでもどんな時でも明るく笑っていた少年が初めて見せた涙に私はジーンとしました。そして少年は帰らぬ人に……。
一方、紀子は手術が成功し、無事退院します。
病院をあとにして空を仰ぎながら紀子がゆっくり歩いていくシーンで確か映画は終わったと思います。(私の記憶が違っているかも知れません)
私は子供心に、私のような子供が重い病気で死んでしまう事に衝撃を覚え、あの少年の涙のシーンがずっとずっと忘れられませんでした。
この映画館では色々な映画を観ましたが、タイトルとそのあらすじをおぼろげに覚えているのはこの映画だけです。それほど印象に残る映画でした。
この映画館も、中学生になる頃には無くなりました。
中学生になってからは、バスに乗って1時間半位かかる市の中心地にある映画館まで観に行っていました。
その頃、観た映画の中で印象に残っている作品をいくつか紹介します。
「ロミオとジュリエット」
敵対する両家の争いが愛し合う二人に悲劇を招くシェイクスピアの有名な作品です。
ジュリエット役のオリビア・ハッセ―がスクリーンに大きく映す出されて登場した時は、あまりの可愛さに一瞬で心を奪われるほどで、今でも鮮明に覚えています。
「フレンズ」
駆け落ちした15歳のポールと14歳のミッシェルの二人だけの愛の日々を描いたラブストーリーですが妊娠・出産など大胆なシーンが多く衝撃でした。
二人で一緒にお風呂に入ってシャボン玉を飛ばすシーンは印象的でした。
「ある愛の詩」
出会ってすぐ恋に落ちた資産家の息子オリバーと苦学生のジェニーは、愛を貫いて結婚し、苦労を重ね、やっと生活が楽になった頃、ジェニーが白血病で余命宣告を受けます。”愛とは決して後悔しない事”という台詞があまりにも有名な純愛映画です。
「小さな恋のメロディー」
少年少女の淡い恋心を描いたラブストーリーです。
ダニエル役のマーク・レスターが女の子のように愛くるしく、メロディ役のトレイシー・ハイドは大人っぽいけど可愛くて、一目見てすぐに二人の虜になりました。
二人が結婚すると宣言したことで、授業を抜け出し生徒達が結婚式を挙げてくれますが、先生や親達にバレてしまいます。
ダニエルとメロディがトロッコに乗って草原を果てしなく駆け抜けていくシーンは爽快です。
この4つの映画のテーマ曲も不思議とすぐに思い浮かびます。
なんと、4作品とも、全てラブストーリー。
恋に憧れるお年頃だったのです( ´艸`)
心に残る映画はいつの時代にもありますが、子供の頃に見た映画というのは又格別な気がします。
いやぁ、映画って本当にいいですよね。
それでは、サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ。(@^^)/~~~
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