第2話

 幼馴染の根津 美夢と初めてキスをしたのは幼稚園のころだけれど、初めて体の関係をもった日のことを書いておこう。

 小学二年生のある日、親も姉もしばらく家にいない……と分かっていた日に、ボクは美夢を家に誘った。

 美夢にもそんな雰囲気が伝わったのだろう。家に入る時から赤い顔をして、自分でも「お気に入り」と言っていた、薄い水色のワンピでやってきた。

 二人でリビングのソファーにすわり、ボクは準備をしていたDVDの再生を始める。それは父親所有のエッチなビデオ。以前にみつけて、この日に見ようと決めていたものだ。

 裏……? まだそういった知識は乏しかったけれど、モザイクがないそれを、生々しい姿をみて、気持ちが昂るどころか、やや萎えてしまうのを感じる。でも、大人の愛する男女がするそれをみて、お互いに衝撃をうけたことも間違いなかった。

 でも、ボクはその日にしようと決めていた。口をあんぐりと開けたまま、吸いつくようにそれを見ていた美夢に、ボクはそっと肩をぶつける。彼女はやっと我に返ったのか、ボクを見た。

 ボクは唇を重ねる。今日の主役は、ビデオを見ることではなく、それで学んだことを実践すること、だから……。


 たっぷりと、互いの口内を味わったことで、意欲が高まってきた。

「服、脱ごうか」

 そういうと、美夢もワンピを脱ぐ。白いブラウスに、薄いピンク地のパンツが可愛らしい。一緒にお風呂に入ることもあるので、その姿をみても特段の感慨はない。でも、今日はその先にすすもう、とお互いに意識している。その分だけ、いつもより色気を感じた。

 ビデオでみたように、ブラウスの下から手を入れて、彼女のそれを脱がすと、ボクはまだ膨らんですらいない胸に、唇を寄せた。これまでもお風呂で、互いに弄ったりはしていたけれど、口で吸うのは初めてだ。彼女も初めての感覚に、しばらく戸惑ったようにボクの肩に手をおいたまま、動くことがない。ボクもビデオで見た通りに、手を下へと滑らせていった。

 割れ目の部分も、指でこすったりしたことはある。そのときはくすぐったい、というのですぐに止めた。でも今日は、くすぐったいという感覚はないのか、それとも初めて胸を吸われたその体験の方に意識がいっているのか、足の間まで手をすべらせていっても、彼女は反応しない。

 ここかな……? 指でさぐっていくと、美夢は「あん♥」と、やっとそれに気づいたようで、体をよじろうとする。

 くすぐったがりで、体をさわられるとすぐ敏感に反応する。でも今日は、左手を背中にまわし、逃げられないようにして、さらに右手はその奥へ、奥へとまさぐろうとする。

「ふわ……いや……ふむッ!」

 ボクの指が、彼女の深淵へとたどり着いたとき、彼女はそう大きな声をだすと、まるでバネをはじいたときのように、恥ずかしくて丸まろうとしていた体が、急にビンと背中を伸ばすようになり、反り返るようになったと思ったら、すぐに力が抜けてぐったりしてしまった。


「大丈夫?」

 ボクも心配になってそう声をかけると、美夢は「何か……体に電気が走ったようになって……」と恥ずかしそうに答える。

 それがイク、という感覚だと知るのは、もう少し後の話。

「止める?」

「ううん、つづけて」

 そういって、美夢はボクの手をひいて、自ら股の間へと導く。恥ずかしがりで、くすぐったがりのはずなのに、いつにも似ない積極性に、ボクもそれに応えなきゃ……と、その指を先ほど、彼女が仰け反るほどの衝撃をうけたそこに、探るようにして走らせていく。

「あぁ……ん~……。は! ふぅ~ん……」

 やっぱりそこが気持ちいいらしい。ボクは少しずつ、指を深く、深くへとすすめていくけれど、そのたび彼女は感情が昂るのか、それとも気持ちいいのか、声が少しずつ大きくなり、上ずったようにトーンも変わっていく。

 咥えている胸の、ちょこんとしたでっぱりも心なしか硬く、大きくなっているようにも感じられた。

 気持ちいいんだ……。ボクも嬉しくなって、指をさらに奥へとすすめると、そこに何かが触れたように感じられた。

「ふわぁぁぁぁ……」

 美夢はふたたび、大きな声とともに体がピンとなると、徐々に力が抜けていった。


「ここがいいの?」

「うん……ひゃッ! 何だか……」

 言葉がでてこないらしい。それは初めての体験で、どう表現していいか、小学生のボクたちでは経験が足りない。でも、お互いの昂ぶりは感じていた。ちょうどテレビの中でも、エンディングへと向かっているように激しくなる。ボクは彼女の中へと、自分を沈めていった。

 互いにつながっている……。そう感じることが重要だった。ボクは映像でみるように、腰を動かしてみるけれど、小さなそれはすぐに抜けそうになるので、上手くできない。ボクはイッたかどうかも分からないけれど、ビデオの中の絶頂に合わせるように、動きを止めた。

 お互い、一つになれたことが重要なのであって、彼女もよく分かっていないだろうけれど、真っ赤な潤んだ瞳で、ボクを見上げてくる。

「これでボクたち、大人になれたね」

 そう、エッチをする、というよりボクたちは大人になりたかった。大人のすることをして、大人に近づきたかった。だから今は、これで十分だった。

 でも、ボクは彼女が初体験の相手ではない。それについて、次の機会に話をしようと思う。





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