33話 ⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎の証言③

アスタリスクはSNSに動画を上げ始めた。

ダンスの動画や、人気の曲の少し歌った短い動画を沢山上げたが

中でも兄の動画は再生数の桁が違ってて、謎の歌うまイケメンとしてSNSのトレンドに載るなどして瞬く間に人気が出た。

再生数という数字として露骨に人気差が現れる事を良く思わないファンも居たが

兄が人気が出ることは喜ばしいし、そうなれば推しのレンの人気も上がる訳で

私にとってはどちらでも幸せで、本当に幸福な時間だった。


アスタリスクはほぼ毎週末に握手会も開催されていて、直接会える機会も多かった。

私は初期の頃からレンの列に並ぶ古参ファンとして、アスタリスクファンの中では有名な存在だった。

レンはメンバーの中でも全体的にスペックが高かったので、兄とアイと同じで初期からファンが付いた

握手会対応の良いし、ファンの顔を覚えるのはメンバーの中で1番早い。

私は自分の推しにファンが増える事が純粋に嬉しくて、本当のあの日々は幸せだった。


グループとしても少しずつ人気も出てきて

メジャーデビューが決まった事をファンに報告したライブの時、兄はステージで目を潤ませながらファンに感謝の気持ちを伝えた

「ファンの皆はいつでも、背中を押してくれている」

兄はいつもそう語っていた。

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