7話 メンバーカラー黄色 ヒロの証言 ④

シャンデリアがぶら下がる煌びやかな店内の完全なる非日常の空間に来ても、

コウは大真面目に「お勉強」のつもりだったようだ。

店内をキョロキョロと見回しているが、その目線は女の子を品定めするものではなく

ただ純粋に動向を観察しているのだと分かる。


俺はコウが食いつきそうな人気の高い子を付けるよう店に指示していた。


コウは1番最初に隣に座った「シエル」というNo.3の女の子と直ぐに意気投合していた。


まだ店に入って半年程度なのに顔の良さで直ぐにNo.3に上り詰めたとあって

人形のように整った顔をした子だった。

結局は顔なのかと呆れたが、コウの人間味のある部分を見て、少し安心したような気持ちにもなった。


コウは本当はしつこい客の交わし方を学ぶつもりだったのに、シエルちゃんの方から連絡先を聞かれ

戸惑った顔でこっちを見てきたが、俺は気付かないフリをした。


その日は連絡先を交換しただけで大した興味もなく見えたが、LINEのやり取りは続けてたみたいで

何日かすると「あの子の店って何処だっけ?場所教えて」って必死できいてきた。

それで教えてやってからは何回か通って、多分家とかも行ってて

その後も休憩時間にはずっとスマホ見てニヤニヤしてるし、本気で惚れてたんだろうな。

これが、俺が知ってるコウが失踪した理由だよ」

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