第四話 退屈

どれくらいねむっていただろうか

ひどわるゆめていたがする


それはとてもながくて

何度なんどわらせたいと

わってしいとねがったゆめ


ゆめえば

先程さきほどから

後頭部こうとうぶにとてもあたたかい感触かんしょくるのもゆめだろう


形容けいようするなれば

すこ高価こうか低反発ていはんぱつまくらのような


さらにすこ時間じかんつと

かおにそっとなにかがれる


やさしくほお

前髪まえがみ

ひたいにまで到達とうたつする


そこでようやく

鈴木すずきはうっすらとける


「…」


まえにあったのは

無表情むひょうじょう少女しょうじょかお


たし名前なまえは…


s…」

だまってもらえるかしら?」

「ごめんなさい」


先程さきほど思考しこう意識いしきもどすため

鈴木すずきはもう一度いちどじた


これは

そう

ぞく膝枕ひざまくらとかいうやつなのだろう


何故なぜ


おれたしかえ途中とちゅう

突然とつぜん意識いしきうしなったんだったか…?


すこ記憶きおく曖昧あいまいではあるが

どうしても膝枕ひざまくら辿たどきそうな記憶きおくおもせそうにない


やはり

本人ほんにんくのが一番いちばんばやいだろう


「な、なぁs…」


~♪


突如とつじょとしてそとからながれるおぼえのある音楽おんがく


だれしも一度いちどいたことがあるであろう

五時ごじのおらせの音楽おんがく


「あら、もうそんな時間じかん

奴隷どれいかえるわよ」

「…」


何故なぜだろうか…


なに人智じんちおよばないおおいなるちからによって

自分じぶん行動こうどう制限せいげんされているような感覚かんかく


不意ふい

鳥肌とりはだ


だれかにられているような

だれかにわらわれているような


どちらにしろ

心地良ここちよものとは程遠ほどとおことわりは


「そうしようとはおもうんだけど

その、奴隷どれいってぶのやめてくれない?」

「じゃあ鈴木すずき

出来できればした名前なまえ…」

奴隷どれい


え、なに


おれってじつ鈴木すずき奴隷どれいって名前なまえだったの…?


「じゃあ鈴木すずきで」

交渉成立こうしょうせいりつね」

「あ、いま交渉こうしょうだったんだ…」


勿論もちろんくちにはさない


へんことくちせばややこしいことになる性格せいかく

この少女しょうじょはしている


流石さすがまなばない鈴木すずきではかった


かえるわよ」

「…はい」


たがいにいえちゃいますやん…


勿論もちろん鈴木すずきくちさなかった



保健室ほけんしつ靴箱くつばこかい

昇降口しょうこうぐちからそと


五時ごじというだけあって

夕焼ゆうやけが綺麗きれい


堀辺ほりべとなりない


おれ気絶きぜつしているあいだ

さきかえってしまったのだろうか


明日あしたにはもうすというのに

結局けっきょくまともな挨拶あいさつ出来できなかった


まぁ直前ちょくぜんまでわなかったこうのほうわるいとはおもうが…


そうおもうとさびしさをかんじずにはられなかった


いまはそのわりというわけでもないが

うしろに美咲みさき


何故なぜだかわからないがずっと


本人ほんにん直接ちょくせつ理由りゆういても

かえ方向ほうこう一緒いっしょだから」の一点張いってんばりだった


「なぁ美咲みさき

した名前なまえ気安きやすばないでもらえるかしら?」

「なぁ土切つちきり

めろとはっていないわ

わたし気安きやすぶな、とっただけよ」


ほとんおなじようにかんじるが

鈴木すずきはあえて指摘してきしないでおいた


「じゃあ美咲みさき殿どの

なにかしら?」

「…なんうか…すまん、上手うまくはえないんだけど

ありがとな」

「どうして?」

「だからぁ…

上手うまえないってっただろ」


土切つちきりなに言葉ことばかえさなかった


はやつづきをえということだろうか


鈴木すずきあたますこいたあと

おおきくいき


尾流牙おるが

いや、おれ親友しんゆうがさ

明日あしたすんだと

おれ、あんまりコミュりょくいからアイツしか友達ともだちなくて」


そう

おもえば堀辺ほりべしか親友しんゆう友達ともだちべるひとすら皆無かいむだった


アイツがあのときはなけてくれなければ

おれいまひとりぼっちだったかもしれない


だからおれはアイツに感謝かんしゃしてるし

感謝かんしゃ言葉ことばくちにすることも、何時いつかはしたかった


だが

その何時いつかのチャンスはもうおとずれない


「だから

美咲みさきてくれれば、これからも学校生活がっこうせいかつ退屈たいくつせずにむからさ」


われながら自分じぶんらしくない


きっとアイツとの出会であいがおれえたんだろう


アイツにかった言葉ことば

せめてこの少女しょうじょだけにはつたえたかった


「だから

ありがとう」

「そう…」


感動的かんどうてき鈴木すずきたいして土切つちきり静的せいてきだった


いな

そうなるよう、感情かんじょうころしていたのだ


嘘偽うそいつわりの鈴木すずきぐな言葉ことば

土切つちきりこころうごかすには充分じゅうぶんぎた


だがそれに気付きづくのは

もっとあとはなしである


ありがとうなんて…

もう

何年なんねんわすれていた


だってわたしは…

いつしかそれがうそだと気付きづいてしまったから


なか条件反射じょうけんはんしゃのようにくちからるその言葉ことば

土切つちきりにとっては害悪がいあくでしかない


これまでもそうだったし

おそらくこれからもそうでつづけるだろう


でも

このひとなら

もしかすると…


土切つちきりった会話かいわはそれ以上いじょうつづことはなく

会話かいわ途切とぎれたまま

とうとう鈴木すずきいえ到着とうちゃくしてしまう


「それじゃあおれ、ここだから」

「だから?」

「え?いや、だからバイバイって」

不思議ふしぎなことにわたしもここなのよ

ばやくていでしょう?」


どのへんいのかよくわからない…


というかわたしもここというのは

一体いったいどういうことなのだろう


意味いみがわからない

というかおをしているわね

間抜まぬづらだわ」


間抜まぬとは


「その間抜まぬづらめんじておしえてあげるわ」


間抜まぬづらのどこにめんずる部分ぶぶんがあるのだろう


今日きょうけでわたしもここにことになったの」


…は?


どうやらおれ日常にちじょう

おれおもっている以上いじょう退屈たいくつしなさそうである

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