第57話 赤穴城

大内義隆が必勝祈願を終え、出雲へ向かった、という知らせを受けて、いよいよ毛利軍は大急ぎで出陣の用意を整える。

元就は、近隣の国人衆にも出雲への従軍を要請していた。


そして、いよいよ出陣の時がやってきた。

毛利軍も毛利元就、小早川正平、益田藤兼ら安芸・周防・石見の国人衆を集めて大内軍に合流することとなったのである。

隆元も父である元就に従い出陣する。


「本当にこの戦いで尼子を討ち滅ぼすことができるでしょうか……?」

隆元はこっそりと元就に尋ねる。

「それは難しいやもしれん」

元就もそう答えるほかない。


大内義隆は、赤穴城も落城させようと考えていた。

ここは尼子にとっても重要な拠点の一つでもあるからだ。

だが、赤穴城は幾度の攻撃を退けてきた『雲南随一の堅城』である。

元就たちも、一筋縄ではいかぬ、と腹をくくることとなった。


「あかあな城って読むのかな?」

松井は戸惑った顔で言う。

「ああ、これはあかな、と読むんだよ」

悠月はそっと教えた。

「変わった読み方をするんだね」

「地名やら人名やら、変わった読みってのは多いよな」

「そうだね……。初見で読めなくて少し恥ずかしいな」

「俺も最初読めなかった」

「そうなの?」

悠月は頷いて照れ笑いした。

松井もつられて笑う。


「あやつらには緊張感、というものはないんか……」

大内春持は苦い顔で元就に言う。

「逆じゃ。ずっと張り詰めておってもいかん。適度に息抜きと言うか、あれほど和やかになる時も必要じゃ」

義隆もその言葉にうなずく。

「春持、お主もマジメ一辺倒だけではない。適度にああいったところを持ってもよかろう」

「養父上! かしこまりました」

春持は改まって義隆にお辞儀をする。

「さて、策を立てるといたそうか、毛利殿」

「はっ!」

元就たちを集め、義隆は作戦会議を開く。


赤穴城は、主郭が非常に狭い城である。

その為、櫓程度の天守閣の大きさだからこそ、どう攻めるか……。

そこが論点となった。


元就は奇襲を提言した。

「やはり、山城でございまするゆえ、陽動の後奇襲の方が良いかと」

「ふむ、詳しく聞かせよ」

義隆は真剣に元就の話に耳を傾ける。

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