中世風の世界を舞台にガストンという主人公を描く一代記。
魔法も奇跡もない世界、この普遍的な設定やキャラクターでこれだけ読み応えがあり、面白い作品に仕上げられると言うのが凄い。
社会制度や文化、地理、技術など非常に中世らしいリアリティを備えながら、それらに引きずられ過ぎず読みやすさを実現しているのが書き手の技倆の高さを示していると思います。
人物描写も巧みで、主人公は実直で武勇に優れるが難しいことを考えるのは苦手、長いものには巻かれるなど長所も短所も持ち合わせながら成長していく魅力ある主人公となっています。
その他の登場人物たちも粗野だったり乱暴だったりと言った人物が多数を占めていながらきちんと個性を立てており、硬軟織り交ぜた描写が実に上手い。
主人公ガストンがこの先どのような人生を歩むのか、これからも楽しみに拝見したいと思います。