第18話⁂拓郎と麗子!⁂
人身取引に基づいて行われる犯罪には、強制労働、強制結婚、性的搾取、臓器売買などがある。
「折角の金づる何としても探し出さなくては」
暴力団側としてみれば————
「両親も亡くなり天涯孤独の身の上だから、あのような胡散臭い養護施設に身を置いている小娘だ。あれだけの美人これからどれだけでも稼げる。あんな上玉滅多と現れない。逃がして堪る者か!」
血眼になり麗子の後を付け狙っている。
それに気付いた麗子が拓郎に怖さの余り相談した。
「私恐い!いつも誰かに付けられ、追い回されている気がするの」
拓郎は『これでは麗子が、いつどんな目に合うかもしれない』と思い警察に全てを話してしまった。
こうしてとうとう、マリア愛児園にも捜査のメスが入り、焦る施設長と田淵組長。
「イヤ!それは話が違います。あの山田と言う子はチンピラ達とつるんで遊び歩いている、とんでもない子です。更にうちのマリア愛児園の太郎君もそのチンピラ達から脅されて、恐喝まがいの事をさせられ困っているのです。あの麗子ちゃん誘拐事件も我々は一切関係ありません。そんなに疑うのであれば証拠を持って来て下さい。埼玉県の倉庫だってあれはチンピラの一人○○君の父親が所有している建物です。我々は一切関係ありません」
実際の話チンピラの一人○○君の父親が、所有している建物である事は間違いないのだ。
チンピラ達にして見れば強い後ろ盾、田淵組がバックにいる事によって反撃されにくいという事も有るので、空き家の倉庫を父親に頼んで田淵組に貸している。
親としても、手の付けられない息子が、大人しくしてくれるのならと息子の好きにさせているのだ。
要はもう見捨てている。
手に負えない。
こうして逃げ切った、マリア愛児園側と田淵組。
「許せねえ!アイツよくもバラしやがったな。組織の事を知っている山田が危険だ。いつ足をすくわれるか分からない。生かして置けない!殺せ——————ッ!」
これに憤慨した指定暴力団田渕組幹部が、山田君を闇に葬ろうと付け狙っている。
拓郎のお陰で、今麗子は、〔菱本酒造〕の住み込みのお手伝いさんと一緒に生活している。
もう半年もすれば高校卒業、それと同時に就職するつもりの麗子なのだ。
また、拓郎の度重なるお力添えのお陰で最近は、すっかり追い回しも鳴りを潜めて一安心の麗子なのだが、ある日の事電話が引っ切り無しに鳴り響くので出ると、山田君からの電話だった。
「ヤクザに追い回されて助けて欲しい」
「警察に訴えなさいよ」
「それが取り入ってくれないんだよ。チンピラと付き合いのある、いい加減な連中の言う事など当てにならない。付け回されている確たる証拠を持って来なさいだって」
「まあ~それじゃ両親に頼んで何とかして貰いなさいヨ!」
こうして暫くの間大学を休学して、居場所も変えて事なきを得た山田君。
◇◇◇◇◇◇◇◇
何事もなく月日が流れ、今麗子は縁あってこの〔菱本酒造〕で従業員として働いている。
それは一にも二にも養護施設出身の麗子が、働ける場所が限定されるかも知れない事に危惧した拓郎が、両親に頼み込んで実現したのだ。
一方の拓郎の両親は拓郎が「麗子を家で匿ってやりたい」と言った時から難色を示していた。
今まで彼女らしい女の子など家に一度も連れて来た事が無かった拓郎が、いきなり「この娘を匿ってやって欲しい!」と言って来た時から、何かとんでもない事になるんじゃないかと、ハラハラしながら見守っていたのだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇
1970年代初頭。
現在拓郎は26歳で麗子は23歳、休日になると2人は、あちこちに出掛けて愛を育んでいる。
今日は愛車スカイラインで隣りの県、富山県の黒部ダムにやって来た。
その後、北アルプスを貫く山岳観光ルート立山アルペンルートを、走りながらの観光を楽しむ2人。
だが、意外な人物がこの立山アルペンルートに来ているのだ。
目的は2人の様子を伺う事。
スカイラインと言えば『ケンとメリ—のスカイライン』記憶に残る名曲のCMで有名。
な~んとも美しいケンとメリ—が🚗
スカイラインに乗ってドライブ
美しい歌と共に♬
風に揺られ……
1970年代のスカイラインのCM曲。
*❀ケンとメリー~愛と風のように~ 🌸*。✿
それはまるで、誰もがうらやむ美男美女の2人拓郎と麗子そのもの。
立山アルペンルートには、国の天然記念物にも指定される
珍しい動物や野鳥、貴重な高山植物がいっぱい!
🌱 🌿 🍀
一斉に花が咲く初夏は、散策の楽しみも倍増。
🌸* 。 🌽 ・
2人は夏真っ盛りの新潟から遥々、夏場の喧騒から逃れる為に、この涼しい立山アルペンルートにやって来たのだ。
立山に住む、氷河時代の生き残り!ライチョウ🐦を間近かで見ることが出来て感激しきりの2人。
『霊山立山では、昔から「神の使い」として大切にされてきた』
立山には特別天然記念物に指定された貴重な動物が生息。
森や草原などそれぞれの生活圏で独自の営みを続けている。
オコジョ 🐇
ニホンカモシカ 🐆
ニホンザル 🙉
🦋それから…何とも美しい蝶々コヒョウモンは、羽根にヒョウのような紋様があり、アルペンルートでは弥陀ヶ原を中心に生息しており、 ベニヒカゲ、ミヤマモンキチョウとともに弥陀ヶ原の3大名蝶と呼ばれ訪れる人々を楽しませている🦋
🏵*チングルマは白い花を咲かせたあと、マッチ棒ほどの太さの茎の断面を顕微鏡で見ると樹齢十数年を示す年輪がある。🏵。✽・
タテヤマリンドウは淡い色が魅力的なこのリンドウ夏の花で 小さな花だが、太陽の光を浴びていっせいに花を開く様子は圧巻。
💐。❁*・
ミヤマリンドウは高山の湿気のある草原に生えていて、高さは5〜10cm多年草で、美しい青紫色の小さな花を咲かせている。
*⋆🌺・
イワカガミはイワカガミの先に、ピンク色の花が複数咲いている。 「イワカガミ」という名は、たくさんの葉が岩場で鏡のように輝いていることから名付けられ た。
イワイチョウは草原や湿原に群生していて、花弁の縁がフリル状になっているのが特徴。また、葉の形がイチョウに似ており、秋になると黄色に紅葉する。
✻*⋆
クロユリは高さ10cmほどのユリ科の植物。暗紫色で、内側に白い斑点があるのが特徴。 🌼・。❀*⋆*
______________________________________
立山アルペンルートの、国の天然記念物にも指定されている
珍しい動物や野鳥、貴重な高山植物をたっぷり堪能した2人は
アルペンルートを後に家路についた。
愛し合っている2人は真剣に結婚したいと考えているのだが、両親の容赦ない反対に遭い、考えあぐねて居る。
両親としては、養護施設出身の麗子に不満を募らせて、頑として首を縦に振らないのだ。
{新潟県でも有名な老舗〔菱本酒造〕の跡取り息子の嫁が、寄りによって天涯孤独の養護施設出身者では、礼儀作法や一般常識に掛けているのではないだろうか?}
ちゃんとやって行けるのか、心配で心配で絶対にありえないと思っている。
そこで2人は大切な友人山田君に会いに行った。
最初の出会いこそ散々なものではあったが、何が功を奏するか分かったものではない。
あの山田君とはすっかり旧知の仲になって、お互いの事を腹を割って話せられる唯一の友達関係になって居た。
そして…2人は早速山田君に相談に行った。
だが、この恋模様には意外な邪魔が入る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます