青春ものとしても、ミステリーとしても胸に響く、素晴らしい物語
- ★★★ Excellent!!!
桜が舞う季節の眩しさから、青春の残酷さまでを一息に描いたような、繊細で痛いほど美しい物語でした。
最初は「恋愛ものかな?」と軽く読みはじめたはずなのに、気付けば心の奥をつかまれて離れない――そんな読後感があります。
主人公・ボブ子の周囲には、とにかく個性的で魅力的な人物が集まっていて、日常の会話だけでも青春のきらめきが溢れています。
笑い合ったり、憧れたり、誰かに心を寄せたり……そんな一つ一つが丁寧に描かれていて、まるで自分も教室のすみで彼女たちを眺めているような気分になりました。
そして、物語が進むにつれ、恋愛だけでは終わらない“ミステリー要素”が姿を現すのも見事。
一見明るい日常に潜む違和感や影が、少しずつ積み重なっていく演出がとても上手く、ページをめくる手が止まらなくなります。