第7話 2回目の夜



 仕事から家に帰ると一通の葉書が届いていた。


 会員制真夜中のクラブからであった。


 次の夜会の招待状であったのだが、不思議なことに差出人は会員制真夜中のクラブとなっていた。


 私は、このクラブには何か店の名前があるのだろうと思っていたのだが、どうも会員制真夜中のクラブ、これがこのクラブの名前らしいのだと思った。


 指定された日の夜に、私は2回目の夜の、クラブの扉をノックした。


 いつもの上品な老紳士が中へ招いてくれ、


「お早いお着きですね、まだ誰もいらしておりませんが、どうぞ円卓にお座りください」


 そう言われて中央に置かれた丸テーブルの前に腰掛けると、老紳士に飲み物を尋ねられた。


 暫くして私は、最初に頼んだビールを飲み干した後、カンパリソーダを頼んだ。


 ホスト役の老紳士は、カンパリソーダを持ってくると、隣にフライドポテトを置いて、


「宜しければどうぞ」


 と勧めてくれた。


 私がゆっくりと、持ってきてくれたフライドポテトをつまみながらカンパリソーダを飲んでいると、老紳士と共に一人の男性が入ってきた。


 前夜には現れなかった人物だと思う。


 それからは順々に男性や女性が現れ、それぞれが談笑し、またあるものはビリヤードを楽しんだりしていたが、今夜は、あの時のチェスを楽しんでいた二人の老紳士達は現れなかった。


 そして私達は、あの夜と同じように、ホスト役の老紳士に導かれてゾロゾロと別室へと移った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る