戦争を知らぬこと
戦争を知らずにいられるのは
本当に素晴らしいことだ
今なお戦争の爪痕は残っていて
苦しんでいる人もいることを頭では知っているけれど
どこかで区切りをつけることは
生きていく中では必要だ
だがそれは
かつての戦争をなかったことにするのではない
忘れ去ることではない
いま他国で起きている戦争から目を背けることではない
世代交代によって和解が進むこと
暗い歴史を忘れていられること
いま自国で戦争を知らずにいられることが
先人の犠牲の上に今なおどうにか保たれている、
脆い奇跡であるということを
忘れてはならない
そして保ち続けねばならないのだ
戦争をこれから再びあるものにしないためには
悲劇を語り憐れむだけではきっと足りぬのだ
犠牲を尊び悼むだけではきっと足りぬのだ
恐れるだけではきっと足りぬのだ
平和を祈るだけでは、
そしてかつての戦禍からの和解を賛美するだけでは、きっと足りぬのだ
だけれども、人ひとりに、
戦争を知らぬ私ごときに
いったい何ができるのだろう
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