「なんだろう、終わっちゃったって感じ」

「そうだね」

「こういうのって忘れられていくのかな」

「テレビでやるんじゃない？　七十年近い戦争もやってるし」

「それとこれは同じなのかな」

「理不尽はそこそこ合ってるんじゃない」

「私たちはラッキーだったのかな」

「命についてなら、そうだろうけど」

「こうやって暮らしていくの、辛いよ」

「辛くなくなるってどうだろうね」

「ラッキーじゃないよ、たくさん死んじゃったよ」

「そうだね」

「いっぱい浮かんでたよ」

「そうだね」

「叫んでたよ」

「……」

「なんで、戻れないの」

「なんで、なんだろうね」

「海、嫌い、白々しい、嫌い」

「うん、まあ、そうだよね」

「なんで、戻らないの」

「戻れないから、もう、しょうがないよ」

「……」

「一生、こうやって祈り続けるんだよ。諦めなよ。もう戻れないんだよ」

「……戻りたい、もどりたいよ。祈りなんてどこに届くの」

「生きる言い訳だよ」

「――もどれないんだね」

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