第13話 夏美の家にて

目が覚めると、夏美の顔が目の前にあった。夏美は目をつぶって、こちらに顔を少しずつ近づけている。


(このままだとチューしてしまう!)


『夏美…?』


声をかけると夏美は目を開けて、僕が目を覚ましたことに気がつくと後ろにふっとんだ。壁にぶつかってガンッと音がする



僕は冷房が効いた部屋の中にいた。部屋の中にはいくつかのぬいぐるみが置いてあり、ベットのシーツはピンク色だ。そして何やらいい匂いがする


(ここは…夏美部屋?)


夏美はまだ驚いている様子だが、やがて何事もなかったかのように話し始める



『よかった…目を覚ましたのね!』


僕が目を覚ましたことに気がつくとこちらを向いてほっとする顔をした。いや作ったのだろうか


『ここは夏美の部屋?』


『うん、そうだよ。ごめんね?勝手に部屋に連れてきちゃって』


そう聞いて焦る。


(親にはなんて言ったんだろうか。夏美が親に怒られても無理に連れてきてしまったのではないだろうか。夏美は優しいから少しありえる)


『全然いいけど…親に怒られなかったの?』


恐る恐る聞いてみる


『ううん大丈夫!今家に親いないから』


彼女はにっこり笑ってそう言った。そしてその声は甘く誘惑しているように感じた。


(今、家に親がいない?それってもしかして…さっきチューされそうだったし…やばい!まだ僕なんの準備もしてない。まだ剥けてないよどうしよう!それにまいったな…まだ体に凄い倦怠感が残ってるのに)



『家に親がいないそれって…うぅぅ、』


そう言って起きあがろうとすると頭に内側から地震が起こったような痛みが走った能力の反動だ。しばらくは起き上がれそうにない


『まだ寝てていいよ。頭、痛むんでしょ?そもそも私たち付き合ってないんだから、手なんか出さないよ』


そう言って夏美は微笑んだ。


(そうだったな…でもさっき僕にチューしようとしてなかったかな…あれは気のせいなのか…?まぁそれに僕も交際前に一線を越えるほど、ベテランではない)


『それより、昼間のことごめんね。私、見ているだけで何もできなかった。』


そう言うと夏美はまた泣きだしてしまった


『ううん。大丈夫だよ。それに頭の良い夏美ならわかるでしょ?ごめんって言われより、友達に泣かれちゃうより、ありがとうって笑って言われた方が嬉しいんだよ』


この気持ちは事実だ。友達の泣き顔なんて見たくないに決まっている


『ありがとう!』


夏美は涙を拭って笑顔でそう言った


『加代陸は知らないかもしれないけど、私見てたんだ。』


『なにを?』


『中学3年生の最後の時期、健二に由香が打たれたの見て、健二に殴りかかってたでしょ?』


『あぁ見てたのか…恥ずかしいな』


『全然恥ずかしいことじゃないよ。かっこいいよ。計画を聞くときに昔のことをいろいろ聞いたけど、好きだったんだね。由香ってことのこと。だからあんな何倍も強そうな人にも立ち向かっちゃったんだ』


『うん…好きな子や友達のためだったら自分でもびっくりするくらい勇気が出るんだ』


(なんだ?こんなことを言ってきて自分でも恥ずかしくなってきた…僕が発狂しながら殴りかかったのも見られてたわけだし…ここは地獄か?)


『そっか。かっこいいね。あのとき気づいてた?モテ指数が1だったのが6になってたの。モテ指数って今まであった人の好感度の平均なのに、私1人で6も増えるなんて、どれほど人と関わってなかったの?それとも、私の気持ちが大きすぎだだけなのかな…』


顔を伏せながらそう言った。伏せてもわかってしまうほど顔は赤い。そして、勢いよく机のコップの水を飲んだ。それでも、彼女の顔は赤い

僕まで赤くなってしまった。




(それは…僕のことが好きってことなのか…?いやまさかな…こんな…モテ指数が200越えの子が僕のことなんか好きになるわけがない…)


『それってどういう…』


『わからないなんて言わせないよ?私、いっつもサイン出してたんだから』


ぷっくりと真っ赤な頬を膨らませてムッとした表情をしている。とても可愛い


『サイン…?』


はぁっと夏美がため息をつく 


『鈍いなぁ。いい加減、手、だしちゃうよ?』


そう言って顔を近づけてくる。今度こそチューするつもりだ。


扉が勢いよく開いてバンっとと音を立てた


『トイレ貸してくれてありがとー!でっかいうんこ出たなぁ!』


東進が勢いよく戸を開けて入ってきた。相変わらず女子力の無い言葉遣いだ


『あー。東進もいたんだったね』


夏美は置いてあったテーブルに肘を置き、ものすごく不機嫌な顔でそう言った。


『東進、ここまで連れきてくれてありがとな。』


『おっ!目が覚めたか!体調は大丈夫か?』


『うーん起き上がると頭が痛いかな』


そう言うと東進はものすごく申し訳なさそうに言った


『そっか…俺が何もできないばっかりに…』


『いいって、何も気にしなくていいよ。2人が無事で何よりだ』


『そっか…俺は…俺はもっと強くなる!筋トレだってする!だから次は守らせてくれよ!』


東進は突然立ち上がって細々とした拳を振り上げた。


(本当に気にしなくていいのに…ってかよく見たらこいつの体ってひょろひょろなんだなぁ…こんな体で頑張ってくれたのか…人の威勢を無下にしたくないし、ここは応援しておこう)


『ありがとな…頑張ってくれよ?』


『おう!』


『ううっ』


東進の声の声が頭に響きまた激しい痛みが走る。頭を抱えるとみかねた夏美が言った


『辛かったら泊まってく?今日は家に親が帰らないんだ』


『それなら俺も泊まって行くぞ?部屋に男女2人にするわけにはいかないしな』


(こいつ…さっき部屋に勢いよく入ったのはわざとだったか…まぁ僕は泊まっていくのは悪いし今日は帰るけど)


『ありがとうでも大丈夫東進に担いで家まで連れて行ってもらうよ』


『ったくじゃねーな』


口では嫌そうだが、未だに申し訳ないと思っていたようだ。そのせいか頼られたのが嬉しいそうに見えた




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今日2話投稿したので明日はお休みにさせていただきますごめんなさい!




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イケメンでもスポーツマンでもないのにモテモテになっちゃった!〜モテ指数が可視化〜 @seid

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