第4話 能力者の日常
『俺に勉強を教えてくれ!』
『と、とりあえず放課後話そうよ』
突然、声をかけてきた東進君に驚きつつ、彼のモテ指数を気にし、今人前で話すのはやめるよう誘導する。
『わかった…それと、テストの時はごめん』
『お、おう大丈夫だ』
彼にはひどい態度を取られたが、水に流そうと思う理由は人前でプライドを捨てれる彼に尊敬の念を感じてたこともあるが、必死に努力をした彼をなんの努力もせずに勝ってしまった罪悪感があったことが大きい。
彼が去ると、今まで話をしたこともない女子が馴れ馴れしく話しかけてきた
『今の何〜?東進何しにきたの?って感じーダサくない〜?それよりさっきのスマートにあいつを自席に戻させたのかっこよかったよー』
なんだよこいつ…ってか誰だよ。
まぁ誰かはわかる山岸桃だ。クラスの女子カーストトップに位置している。
見ての通りぶりっ子で今すぐぶん殴りたい。だが、自分のモテ指数を気にして思い留まる。
それより今の僕と東進くんのやりとり、僕が絡んできた東進をあしらったように見えたのか。
ふと、東進くんのモテ指数を確認すると、108に下がっていた。
『山岸さん、ごめんねそろそろチャイムがなるから先に戻ってくれるかな?山岸さん、遅刻扱いになっちゃうよ。』
この学校には、チャイムが鳴るまで席につかないと遅刻扱いされてしまう。
それでもあとチャイムなるまでに48秒ある。お数十秒は談笑できそうだが、そんなストレスに耐える自信はない。
『気遣ってくれるのー?ありがとう。次は桃って呼んでねー』
そう言って彼女は自席に戻る。
彼女を遅刻から救ってあげる道理はない、あと30秒でチャイムは鳴る。
それまでに彼女を席から立たせたい。だが、あからさまなことをすると周りから悪くみられて、モテ指数が下がってしまう。
では、何をするべきか。答えは何もしないことだ。
席に着いた山岸は数秒経ってから未だチャイムがならないことにおかしく思い、時計を確認して顔をしかめる。
『なによ、まだ3分あるじゃない。』
そうつぶやいて再び立ち上がり、加代陸のとこへ、戻ってきる。その途端チャイムがなり先生が教室に入ってきた。
『おい山岸遅刻だぞー』
『ふぇぇ?』
わざとらしく間抜けな声を出す。小賢しいな
全く数ヶ月学校にいて時計が3分ずれていることに気づかないなんて馬鹿なやつだ。呆れるよ
そのまま、朝のホームルームが始まった
『はいじゃあ今日も一日頑張れよー。
あっそれと今学期末、モテボーイビルボーダーチャートやるからなーったくあんなくだらねーことやらなくていいのになぁ…んじゃあ終わりー』
なんなんだ。モテボーイビルボーダーチャートってのは…誰かに聞くか。
あ、俺友達いないんだった。夏美も他のクラスだし、他クラスの教室に入るのってちょっと緊張するしなぁ。放課後でいいか。
あ、放課後は東進くんがいるのか…東進くんに聞こう。
1時間目は数学だ。当然寝ながら授業を受ける
チャイムが鳴った途端机に顔を突っ伏した
『はいそこで寝てる加代陸!答えは?』
寝てから何十分たったろうか。
突然当てられて反射的に目を覚ます
問題の答えを言えばいいのか。さてどんな問題だったかな
寝ている間に聞いていた情報をたどる
じゃあ前回の復習するぞードイツと同盟を結んだのはどこの国ですか?はいそこで寝てる加代陸!答えは?
なるほど、こういう質問だったか…つかお前数学教師だろ!それは反則だろまぁでもそういうことなら…
『イタリアです』
『ぐぬぬ正解だ。』
気持ちいいいい!!寝ながらも聞いてたっていう天才感きもちいい!そしてこの先生の悔しそうな顔!気持ちいいい!!
授業中に寝ていると、僕に恥をかかせたいのか、これでもかと当ててくる先生はいる。
この先生もその1人だ。
目が覚めたついでに、東進くんの授業を受ける姿勢を気になって見てみた。
『東進くーんこのペン何ー?汚くないー?』
山岸桃!!席隣だったのか!お前東進くんの勉強をじゃまするんじゃねぇよ!それにいきなりペンを馬鹿にすんな!
『山岸さんもそう思う?ハハっ僕もそう思うよ。昔、亡くなったおばあちゃんがくれたものでさ、なんだか捨てられないんだ。貧乏くさいだろ?笑ってくれよ。なんで捨てられないんだろうな…』
こいつ…カッコ良すぎるな…
『…私もこのペン…』
きもっお前は語らなくていいよ、くだらない。
そう考えて、再び机に突っ伏す。
***
帰りのホームルームが終わった途端、東進君が待ち望んでいたかのようにこちらの席に早足で向かってくる。だがまだ、生徒がたくさん教室に残っている、これから話すことを人に聞かれるわけにはいかない。
『朝の話のことなんだが!』
『ちょ、ちょっと待ってくれ、どこが誰にも聞かれずに話す場所はないか?そこで話をしたい。』
『なら、僕の家に来ないか?』
『え…いいのか?いこういこう』
よく考えれば、人の家に簡単に行くってのは軽率すぎるのかもしれない。でも僕には東進くんが悪い人には見えなかった。それはあちらも同じだろう。信用できない人間を簡単に家に招いて良いわけがない。
***
家に着いた。二階建ての一軒家で屋根が赤いこと以外、いたって普通の家だ。
『ここが僕の家だ。今日…家に両親いないんだよね』
そう言って東進は甘い声を出すもちろん冗談だろう
『やめろよ!お前ホモじゃないだろ』
ツッコミを入れると互いに大笑いした。ここに来る途中、彼と話している間にこのような冗談
を交えるほど仲が良くなった。
それほど彼のコミュ力は高かった。
『さぁ入ってくれ』
『お邪魔しまーす』
そう言って中に入ると奥から、のそりと大人の男が顔を出す
『誰だね君は』
父親だろうか…
あわてて挨拶する
『あ、東進くんの友達の加代陸です!こんにちは!』
『フンっ』
なんだが昔の人のような無口で厳格なイメージを湧かす親だ
『急に友達を呼んでごめんね。自分の部屋にいるからさ、友達連れてきてもいいよね?』
『好きにしろ』
『ありがとー』
親思いなのだろうか。彼の親に対する言葉遣いは丁寧で優しさを感じる
二回にある彼の部屋に案内された
『さてさて、加代陸君、どうやって勉強してるの?』
ここに来るまでにずっと悩んでたことがある。それは能力を打ち明けるかどうかっと言うことだ。みんなに言いふらされるリスクはあるだがここは彼を信じてみるべきなのだろうか…学内での親友候補に突如として上がってきたこいつに、秘密なんぞ無用なのかもしれない…
『実は…僕全く勉強してないんだ。』
『うわっ地頭いいアピールかよ』
東進は嘲笑する このリアクションは予想外だ
『そ、そんなんじゃないよ、ほんとにそうなんだって…中学の頃…』
自分が中学生の時にいじめられていたこと、そして能力を得たこと、この二つを話した。神様については、誤魔化しておいた。
その間、彼は僕の話を遮らずに聞いてくれて、僕の気持ちに涙を流した
『そうだったのか…君も大変だったんだね…』
『うん…ありがとう。』
彼の部屋の中で、彼が鼻をすする音だけが流れる微妙な雰囲気になった。
彼は何か思案しているようで数秒感ずっと頭を抱えている。すると彼が口を開き始めた。
『健二ってやつに仕返しをしたいと思わないか?僕にいい考えがある…』
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