第3話

腰を上げ外に出た。


スラムはいつも通り活気はなく大人は働かずに地べたに寝転びながら酒の入った瓶を煽っている。

子供はお互いを牽制し合いじっとしている。

門番は相変わらずいない。


門の外に行くなら前に大人がしくじって壊して隠していた壁の穴がまだ補修されていなかったな。

あまり他の人から見られたくないしな。

というかここの奴らが補修なんてするわけないだろう。

そこから外へ出たほうが良さそうだ。


さてとこの箱を横にずらせば子供一人通れそうな小さな穴が…


「ぐ……ぐぐぐぐっ」


この箱重い!

何故だ?中に何も入ってないのに何故?

まぁいい少しずれたこの隙間から行くとしよう。


「狭いっ!と思ったが結構簡単に通れたな。どれだけ細いんだよこの身体」


草原に出たわけだが何か食べられる物を探さなくてはならないな。

だが一面草だらけだ。

どう見ても食べられそうなものが見当たらない。

森に行くしか無いのだろうか?


だがお腹がが空いて足元がおぼつかないな。

森に行くまでに倒れてしまいそうだ。

覚悟を決めて草を食べるしか無いのだろうか?

食べないよりは良いだろう。


「さぁ行くぞ!」


俺は覚悟を決めそこらの辺に生えている草の中にある草でも色が濃く、ハートの形をしたハーブっぽい草を引き抜きおもむろに口の中に入れ噛む!

…思ったより草独特の青臭さが無くむしろミントっぽいので食える。

まぁ土の味がして不味いのには変わりないがそれさえ無ければ案外食える。


俺は草を食い決意に満たされた。


さて、次はそこら辺に大量に生えている若葉色のした草を引き抜きおもむろに口に入れる。

瞬間草独特の青臭さが口の中に広がり吐き出しそうになるが腹を満たすためと思い涙目になりながらも胃の中へと押し込んだ。


「ぁぁぁぁあああ不味いぃ」


不味いマジ不味い。

草なんて食べるもんじゃないな。

まぁ俺は食べるけど。

そうでなきゃ生きていけないし、しょうがないよな?

…食べるとしたらハート形のハーブっぽい草を食うのをおすすめするぜ。

さてまだ腹は減っているし今日はこのハーブを採取して帰るとしよう。


数時間後…


このぐらいで良いだろうか?

あちこち探し回って十二本ぐらい集まった。

だがその分腹が減ってしまった。

…そこら辺の草も採取しよ。


壁まで近づき隙間を通る。

周りを見渡し近くに人がいない事を確認すると早足で自分の拠点へと帰った。

壁から自分の拠点の距離は約50mぐらいだろうか?

まぁ近いからすぐに帰る事ができるというのが利点だろう。


拠点へと戻り草を置く。


「そうだ、半分食ってもう半分は明日の朝に食べようとしよう」


そう言いながら草を半分に分けかけた小さな壺に半分入れる。

もう半分は木の上に置き日本人の感覚で手を合わせ「いただきます」と小さく呟いた。

そして草を口の中へと放り込む。

案の定不味い。

土は落としているものの青臭さはどうしようも無い。

吐きそうになるのを我慢して飲み込む。


一応雑草でも水分を含んでいるから水を飲まなくてもいい。

そう考えたそのため水を後回しにしたのが裏目に出たようだ。

次雨の日が来た時は壺に雨水をためておくべきだと草を噛みながら思った。






「さてと草を食べ終わった事だし次は何をしようか」


もう日は沈み外は真っ暗になっている。

スラムの夜は危険がいっぱいだ。

人攫いやら闇市やらで静かに賑わっている。

まさに外は無法地帯そのものだ。

警備をしている門番も見て見ぬ振りをしており家の隙間からこっそり外を見ると門番も一緒になって酒を煽っていたりする。

違法販売、人身売買、取引、暗殺依頼、その他もろもろいろんな事が行われている。

子供は静かに息を潜め隠れていなきゃ攫われるというのはこのスラムでは広く広まっている事だ。

そして攫われた子供を誰も助けはしない。

それはこのスラムの暗黙の了解となっている。

新しく来た子供の約6割は攫われると大人が話していたところを聞いていた時がある。

助けてやりたいのは山々だが返り討ちになるのは見え見えなので助けはしない。


「まぁ、夜は動かない。これに限るな」

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