第23話 *かの国の話* その壱
時は少し戻る
「第一王子よ、あのモノがどうやってこの国から出たか分かっているのか?」
かの国の国王だ。また国王も名は明かさない。
「わかっています」
「どのような方法だ」
「第四王子が発明したなにかを使ったのでしょう。第四王子が発明したものがどんなものかよく聞いていましたから。それは周りのみなも聞いていたはずです」
「そんな秘密事項を教えてしまったのか?」
「…大事な人でしたから甘やかしてしまったようです。申し訳ありません。父上」
第一王子は頭を下げる。
「仕方がないのぉ、大事な娘なのは私も同じだ。いずれ居場所は特定されることだろう。今後はこのような事はないようにな」
「わかっています。もうこのような事はありません」
もう逃がすことはありません
いずれ…そう、あのモノが自分の名を他人に明かす時、祖国を口にした時すぐに居場所が特定される。先祖代々守ってきた『ビアンカ』が教えてくれる。
この国の赤子は出生が届けられ次第、赤子の魔力を『ビアンカ』に組み込ませる。自身の名や祖国の名を口にすれば『ビアンカ』が反応する。もちろん死んでいればそれも『ビアンカ』が教えてくれる。だがまだその知らせはない。
あのモノが行方不明になってから一週間、一ヶ月、三ヶ月…
なぜ、見つからない…自分の名を伏せたか、自分の国名も言わなかったようだな。思いの他優秀ではあったのかもしれぬ。自分の発明を我らに簡単に言い、貴重な付与の力を振りまいてくれた。壮大な魔力はこの王家になくてはならないものになった。世界中から宝石を集め、何個も付与をさせた。何十億と王家は潤った。
しかし…なにも知らない第五王子の婚約者にしたのはまずかった。私や第二王子の第三夫人に収めるべきだったかもしれない。もう少し美しい容姿であればよかったのだが、地味過ぎて侍女のようになりかねない。私はいずれ国王になる身だ。あんな庶民のような容姿の女など、この私に相応しくないのだ。仕方あるまい。
このままあのモノは見つからないかと焦り出した頃、『ビアンカ』が教えてくれた。逃がさぬ、あのモノはこの国とって必要なモノ
ビアンカ…我が国の秘宝
第一王子は『ビアンカ』を祀っている城の地下に来ている。最近では長く滞在するようになった。あのモノを回収するために。王家の血筋のみに許された場所、長く深い地下には一面の水晶のような美しい魔石が光り輝いている。エネルギーが満タンな証拠だ。
この光が薄まればエネルギー補給をしなければならない。そして、光り輝いている魔石の真ん中には等身大の女神像が鎮座している。その女神像こそ『ビアンカ』なのだ。その姿は裸体に近く、恐ろしいほど美しく真っ赤に光り輝く女神像ビアンカ。
そのビアンカ像から我が国の国名を口にしたものがいる。あのモノだろう。どうやら言葉にはせず、紙か何かで表したらしい。ピンポイントではわかなかったようだが、場所は「サウーザ王国」を示している。
あのモノを回収するには、まずはサウーザに交渉をするか…
果たしてすんなりとあのモノを渡してくれるか…ただでは動かぬであろうな…なにか土産を用意せねば…
闘いになれば『ビアンカ』の疲労が激しくなりエネルギーも減少するであろう。そうなれば我が国も無傷では済まない。
『ビアンカ』…十五歳の成人の時に父上と一緒にこの地下に訪れ、秘密を聞かされ誰にも言うなと言われた。その頃のビアンカと少々違っている。父上が言うにはエネルギーが切れる頃かもしれないのだそうだ。百年に一度はエネルギー補給をしなければならないらしい。以前の補給から八五年経っている。まだ十年ほどは余裕があるだろうと父上は言うが…
「心配するな私も一緒に苦痛を味わう。エネルギー補給が済み次第、王位をそなたに譲ろう」
父上からはそう言われ安心した。ひとりでは耐えられないかもしれない。
『ビアンカ』は生身のひとりの女性から出来ている。それは国王と次世代のみ知る話
そしてすでに次世代の『ビアンカ』は決まっている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます