第18話

 (※バレリー視点)


 私はあまりに衝撃を受けて、とりあえず、部屋のドアを閉めた。


 そして、廊下で大きくため息をついた。

 まさか、ゲイブと会っていたなんて……。

 彼の浮気相手が、男だったなんて……。


 私はショックを受けていた。

 お姉さまと別れて私を選んでくれたのだから、私のことを本当に愛してくれているのだと思っていた。

 でも、実際に浮気現場を見てしまって、ジョエルが浮気しているという私の予想は、現実のものとなってしまった。


 そのことが、ただただショックだった。

 慰謝料を請求しようとか考えていたけど、今はそれどころではなかった。

 愛する者に裏切られるということが、こんなにもショックだったなんて……。

 あまりのショックの大きさに、思わず涙がこぼれた。


 突然、部屋の中から大きな声が聞こえてきた。


 扉越しなので、なんと言っているかまでは、わからない。

 もうすでに、始まっているのね。

 こんなに大きな声を出すなんて、よほど、激しいことをしているに違いないわ。

 あまりにショックが大きすぎて、もうこの場にいたくなかった。

 

 私は涙を流しながら、病院から去った。


     *


 (※ジョエル視点)


「また金を貸してほしいだと!? いい加減にしろ! 私はもう、これ以上貴様の言うことを聞くつもりはない!」


「いいんですか? こちらには、証拠があるんですよ。あなたが私を、#難病を治せる医者にした__・__#証拠がね。私だって、こんな脅すようなこと、したくないんですよ」


「よくもそんな、心にもないことを言えるな! どうせその金を使って、また貴様はギャンブルをするつもりなのだろう!?」


「まあ、正直に言うと、その通りですね。ここまで言ったので、さらに正直に言うと、もっと金を貸してほしいのですよ」


「なんだと!?」


「どうしても、勝ちたい奴がいるんですよ。そいつに勝つには、何度も勝負を挑むしかない。しかし、そのためには、あなたから借りるお金を、もう一桁増やしてほしいんですよ」


「ふざけるな! そんな要求、のめるわけないだろう!」


「なら、仕方ありませんね。私は秘密をばらしますよ」


 彼は背を向けて、机に向かって座った。

 そして、書類に何か書き始めた。


「もう帰ってください。私も仕事を少ししてから、帰りますので」


 もう、やるしかない。

 こんな奴に、破滅させられてたまるか!


 私は、持ってきていたバックから、を取り出した。

 そして、彼の背後に忍び寄った……。

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