第3話 頑張ったつもりが......

 断食2日目~30日目


 ムスリムの風習に従って、ちゃんと、お日様がいるうちは、断食に努め、お日様が沈んだ時に、今までの1食分くらい食べるようにした。

 摂取カロリー自体、いつもの半分以下だから、普通に考えて、痩せるはずよね~。

 制服のスカートも、安全ピンのお世話にならないくらい、去年までの私の状態に戻っている!

 私、この断食法が合っているんだと思う!

 来年も冬太りしたら、ラマダンのダイエット実践しよう!


 断食月が終わって、せっかくだから、素敵な数字を拝みたくて、夕食前に、体重計に乗ってみた。

 1ヵ月よく頑張った、自分!

 きっと、近年稀にみるような体重になっているはず!


 そう疑う事無く体重計に乗ると、目を疑った。

 ウエストはクリアしてるのに、なぜか体重は2キロ増し!


「姉ちゃん、知らなかったの?ラマダンって、寝る前に食事するから、結局、ダイエットどころか、肥満になりやすくなるんだよ」


「え~っ!由吉、そんな事、知っていたら、先に言ってよ~!」


 私も、早く気付くべきだった!

 そもそも『ムスリム』なんて、『無スリム』って感じで、ダイエットからは程遠い響きなのに!


「なんでも3日坊主の姉ちゃんが、こんなに続くなんて思ってなかったし、日本人の体質でも、太るかどうか実証してもらいたかったから」


 私の身体を実験台にして、ケタケタ笑っている由吉。

 結局、体重自体は減らなかったけど、まあウエストがスカートにフィットするようになっただけでも、成果有りとしよう!


 来年は、どうしようかな?


 春服と相談しようか......


 うーん、やっぱり、あの断食前夜のバイキングは魅力なんだよね~!

 制服の件はどうであれ、断食前夜のバイキングの儀式は、何が有ろうと揺るがない絶対前提条件として、来年も、ムスリム修行させて頂きます!


     【 完 】


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断食前夜を思い出し ゆりえる @yurieru

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