第11話 多士済々
改造人間・
世界殲滅ノ天使を貫いた輝きの正体を、九郎の補助脳は(魔法陣で構成された銃弾)と推測した。
「魔法陣の…銃弾!?」
「さて、魔女殿や銃士殿の活躍を拝んでばかりも居られぬ。拙者もそろそろ参戦致すで御座る」
唖然とする九郎の背から膝を退け、ゆらりと立ち上がる忍装束の男。
眼前で繰り広げられる信じ難い光景に、思考停止状態に陥っていた九郎はハッ!と正気に戻り立ち上がろうとするも、生体・義体に渡る甚大な損傷と激烈な痛みに立つ事は叶わず、思わず蹲る。
「ぐぅううう…!」
「無理をされるな、この辺りの化物共は拙者が始末致す故、貴殿は少し休むで御座る」
「し、始末って…あんた…!」
激痛に喘ぐ九郎。その超感覚センサーはまたも集結を始めたヒトガタ・マガドリ・ギガント達を知覚する。
1000日で、ほぼ全ての人類を殺戮し尽くし、世界を本来有り得ない「天獄」と化した◯◯の軍勢。
その悍ましき異界の魔力に向かい、音も無く、気配も無く、己の影の一部が如く、ゆらりと歩み始める忍装束の男。
「この
忍装束の男…白丸は九字護身法の印を結ぶ。刹那、その影が爆発的に膨れ上がり、途方も無い妖気が溢れ出す。
「血界忍法!天鼠無幻嵐の術!」
白丸の真紅の瞳が禍々しく輝く。妖気を纏った影が凄まじい数の蝙蝠に変化、無限にすら思える蝙蝠の群れが空一面を覆い尽くし、嵐どころか竜巻の様に轟々と渦を巻いてヒトガタ・マガドリ・ギガント達に殺到する。
まさに鎧袖一触、億単位を超えた蝙蝠の渦は圧倒的な数の暴力でヒトガタ・マガドリ・ギガント達を完膚無きまでに磨り潰し、再び渦を巻いて白丸の影に帰還する。
「
「なっ…!ばっ…!?」
蝙蝠達が持ち帰った異界の魔力を吸収したのか、白丸の妖気が更に濃く禍々しくなり、ざわざわと揺らめく黒髪が覆面を払う。露わになった口元から覗く鋭い犬歯。それは、遍く世界に伝承される夜の支配者の証であった。
「吸血鬼…なのか!?」
「左様。親も無く
「…もう訳が分からん」
「分からぬ事を分からぬと言える、それ即ち美徳で御座る」
そう言った白丸の影がまたもや膨張し、唸りを上げて巨大な獣が顕現する。
「血界忍法!急速鎌鼬の術!」
巨大な獣…伝説の妖怪鎌鼬はその背に立つ白丸を乗せたまま、体勢を立て直しつつある世界殲滅ノ天使に向かって猛然と走り出す。
あっと言う間に小さくなる白丸を呆然と見送る九郎。その九郎の超感覚センサーが、間近に発生した異常な現象を検知、どの様な現象かは分からぬまま振り向く九郎。
そこには、黄金に輝く魔法陣が出現しており、そこから3人…3体の男女(?)が、現れた。
1人は二十代半ばに見える男。どの国のどの軍とも知れない黒い軍服を着た、それでいて絶対に軍人にしか見えない、左腰に二尺四寸の打刀を差した隻眼隻腕の男だった。
1人は二十代後半であろう女。美しいというより凛々しい、パンツスーツに緩くネクタイを締めた少々背が高めの女だった。
1体(?)は性別も年齢も不明な…2メートルを優に超える直立した
全体的には獣脚類を人間に近付けた様なプロポーションだか、前肢(?)が明らかに長めであり、それでいて芸術品の様に美しい造形の生物だった。
※
黒い竜は、物珍しそうにキョロキョロと辺りを見回し、パンツスーツの女は「ん~~」と背伸びする。
そして、軍服姿の男は微笑みながら九郎に歩み寄る。
「小官は右腕を失くしております故、敬礼も握手も出来ぬ無礼をお許し下さい」
「あ、ああ…。その…俺は小鳥遊九郎。あんた達は、あの忍者だか吸血鬼だかの仲間なのか…?」
九郎の問に、竜は「フン!」と鼻を鳴らし、女にっこり笑って首を傾げ、軍服姿の男は苦笑する。
「まず、小官は国と共に名を失った故、ただ中尉と名乗っております。あちらの2名ですが、」
「私はガン・ガントレット!宜しくな!」
「…スワルト」
九郎は直立する大トカゲが言葉を発した事に衝撃を受けた。
「…です。そして貴官の質問にお答えしますが、先行した白丸殿と我々…と言うか我々全員は、ある時は敵対し、ある時は共に戦う仲間…という曖昧な関係なのです」
「まあ私達はわりと気が合うんで、共同戦線組む事多いよな〜」
「…反吐ガ出ルワ!」
笑うガン・ガントレット。物凄く嫌そうなスワルト。苦笑する中尉。
「まだ追加人員がいるので、くれぐれも仲良くして下さいね」
「ほう、誰が来るんだい?」
「(異能者)と(鉄拳)ですよ」
ガン・ガントレットの質問に答える中尉。それを聞いたスワルトがウンザリだ!という表情で呻く。
「(星睨み)と(星落とし)の陰険根暗夫婦モ居ルノニ、過剰戦力ダロ…」
※
「くちゅん!」
「どうしたリズ、風邪か?」
「…なんか黒トカゲに悪口言われた気がする」
「…撃つか」
そういう事になった。
〜天獄編は、もうちびっとだけ続くぞ!〜
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