私の不思議な夢の話※一部、残酷なものを想像させるような言葉が含まれます。

2025年8月5日(火)

別の夢から逃げてきたら、私は、日比谷線日比谷線の駅の中、改札を出るとLUMINEがあった。ただし様子がおかしく、店員が誰一人としていない。今日は、推しのイベントが、日比谷駅の05出口のすぐ横にある大きめの施設の中で行われる予定である。周りに高い建物はなく、住宅街にポツンとある、唯一の商業施設だった。住宅街が道に沿ってポツポツと等間隔に並ぶ仄暗い街灯に照らされているだけなのに対して、この建物はLEDの明るさに包まれて、輝いていた。一つ不思議な点があるとするなら、窓が一つも無い所くらいだ。

残念なことにチケットは当たらなかったが、丁度近くに用事があったので、雰囲気だけでもと思い、寄ってみることにした。05出口を出て、すぐ右手にある階段を登る。銀色の手すりと、白色のすりガラス、足元はおしゃれにライトアップされていて、大人5人で並んで歩いても余裕がありそうなくらいには広かった。その横には距離をかけてスロープで登れるようにしてる所、その横は、一階につながる短い階段、そして、スロープ、これと同じような階段…周りを囲むように植え込みがあったり木があったり、と対称的な作りで、なるほど美しいと思えた。私はこの階段を登って、2階まで上がってから、その建物に入って行った。中のお店はほとんど閉まっている。私はそれらをみるのもそこそこに、すぐにエスカレーターで3階に上がった。

お土産屋さんコーナーみたいなお店しかない。赤い縁で、中は黒一色で統一された壁と床に、会計のカウンターがあって、これはお会計する台の一番上の板部分のみ赤く塗られているものだ、その横に、冷凍冷蔵もののコーナー、端には栃木のコーナーが奥から手前に置かれている。カウンターの左前に壁についた赤い棚があって、そこにも商品が置かれている。カウンターの右側には洋服コーナーがあって、移動式のラックに丁寧に服が…主にTシャツがハンガーでかけられてる。カウンターにだけ店員がいる。

この店を通りすぎて、イベント会場になっているであろう所の扉の目の前までやって来て、私はふと、何かから逃げたくなって、走って、さっきのお土産屋さんに飛び込んだ。ここは、自分で好きに商品を見て、選んで、会計カウンターで買う、至って普通のお店だが、なぜかその時は、その行動が特別なことに思えていた。だから、いい機会だし、と思って、私は商品を見始めた。

酔っている5、60代と3、40代のおじさん二人が入ってきて、

「この店どうやって使うの?」

「先輩、ここ、自分で好きに商品選んで買うんすよ。」

「じゃぁ、これもっていっちゃおうかな?笑」

「先輩〜、ダメっすよ〜。笑お会計しないと〜笑」

と若い方が得意げに言う。

何を見せつけられてるのかと思ったが、そのまま流して、私はこれと言った商品はなかったがなんとなくその場に居続けた。

すると、自分の推しではないが、推しと同じグループのメンバーが現れる。Aさんとする。センター分けの甘栗色のような薄茶色の髪色で柔らかい雰囲気の男性だ。ほとんど親交はないと言いたいが、あろうことか実は知り合い…いや、本当はもっと親しい、友人…?明確な関係は明かされなかったが、何かしら不思議な縁のある人がお土産屋さんの前の道を15m程進んだあたりにあるドアをガンッ!と勢いよく閉めて出てきた。その眉間には皺が寄っていて、普段の穏やかな様子からかけ離れていた。どうも、何かあったようだ。

その後をまたガン!と音を立ててドアから誰か出て来たと思ったら、他のメンバー3人がゾロゾロと身振り手振りを使って何かを説明してるのか、怒っているのかはわからないが、物々しい雰囲気で追ってくる。その先頭には青みがかったような緑のような深い黒色の髪で少し吊り目気味の大きな紺色の瞳の私の推しがいた。Aさんが振り返ると、4人はその場で口論し出した。話の内容は聞こえなかったが、怒鳴り声のような大きな声の余韻がフロアに響く。Aさんは何かひどく焦っているようで、その場を離れたいのか、苛立ちが隠せなていなかった。私はここで初めて、この人達から逃げていたことを直感的に悟る。理由は単純で、お金を払ってもないのに、チケットを買ったわけでもないのに、推し達を生で見る、なんてことがファンとして許せなかったからである。私はこっそりその場をあとにしようとすると、目ざとくAさんが私をみつけて、なぜかひどく気が抜けたような満遍の笑みで手を振ってくる…私は見なかったことにしようとしたら、相手から、ズンズンとこっちに寄って来て、肩身が狭いったら、ありゃしない。走って逃げ出そうとしたが、その前にその人に捕まってしまう。他のメンバーは、怒りが目に残ったまま、呆れ気味に私たちを見ている。Aさんが、「とにかく、俺は時間がないんだ!申し訳ないけど、僕はこの場を離れる!」と大声で言って、そのまま私のことを置いてけぼりにして、その場を早足であとにしてしまった。何が起きたのかわからなかったが、きっとAさんを連れて戻った方がいいと感じた。私はその場を離れる口実が欲しかったので、「私がAさんを探しに行って来ます!」と言って、その場から離れた。

もちろん口先だけではいけないので、本当に探しに出る。

直前にどうしてか急に現れた大きな窓から、エレベーター下の自動ドアの外に、非常階段のある細い道を、険しい顔で歩くAさんが私が出て来た駅の出口に向かって行くのが見えたので、エレベーターを使って、元の道を辿って探してみたけど、もうそこに彼はいなかった。私は直感的に電車に乗ることはないと思い、別のルートも一通り探してみても、そのビルの敷地内にはどうしてもいなかったので、初めに登って来た階段側の側面の、先程Aさんを見た、非常階段の横にあるいかにも誰も使う人が居なさそうな小さく細い階段を降りて、住宅街の方まで出向いて探した。

入って行って、2ブロックくらい過ぎたあたりで、遠目からでもオレンジ色の光が印象的な場所を見た。私はお祭りかと思って近寄ってみたが、そこはとても騒がしく、坊主で体格のいい男の人と誰かが激しい喧嘩をしているみたいだったから、怖くなって、逃げ出した。と言ってもその1ブロック手前くらいで左に曲がって、また住宅街を進み始めた。今度は、複数人の楽しげな笑い声や賑やかな声や雰囲気がしたので、今度こそお祭りかと思い、見に行ったが、そこは見るに耐えない、いじめ現場だった。一人の男の子を男子が羽交締めにして、その周りを女子数名と2、3人の男子で取り囲んで、スマホを片手に、いじめている風だった。もちろん気分のいいものではないが、私は夢の中ですら意気地なしだったらしい。止める勇気も何もなく、それを見た瞬間、恐怖を感じて一瞬その場から動けなくなってしまった。力のない私は兎に角無力だった。自分を守るので精一杯だったのだ。パッとその子達と目があってしまった。この時、卑しくも私は、被害を受けている子と目が合わなかったことに安堵した。何故なら、そんな子と目があってしまったら、助けて…と頼まれた時に、助けなければいけなくなってしまう。私は、その場の道徳的正しさより、自分の身の安全を優先したのだ。その子達の目は悪意や敵意、に満ち溢れていて、随分と攻撃的な鋭いけど、幼さゆえの鋭さと鈍さを併せ持っていた。恐怖心を思た私は、ホラーゲームの登場人物のように、必死で逃げ出した。小道を曲がって、道なりに走って…と走り続けて、ついには、自分がどこからどう来たのか、今どのあたりかなんかもわからないくらい、住宅街の奥に来てしまったらしい。小道を一本入ると、狭い道路の街頭の下で、予想だにしていない、殺人現場を目撃してしまった。ツインテールの女性が男性を刺す瞬間だ。肉を無理に切り裂く音が聞こえる。そして迂闊にもその女と目が合ってしまった…どうやら、見てたのがバレたらしい。女は狂ったように、目撃者の私を処理しようと追いかけてくる。私はここで死ぬわけにはいくまいと死に物狂いで逃げた。一旦人気の多い所…と思って住宅街を抜けようとすると、気が付いたら来た道を戻っていた。一番最初に見た喧嘩現場まで戻ると、あれほど怖かった喧嘩現場が実は、お祭りのやっている通りに出るところで、この喧騒と人混みの影が喧嘩に見えていたとわかる。

味のある壁が少し日焼けしてかどうしてか、色ムラが見られる古風な木造二階建ての家と家のサッポロビールのポスターが一枚だけ貼ってあるような、レトロな細い小道から、お祭りの通りに出ると、みんなきつねの面を被ってる。親子が前を歩いてる。そのまま、その人たちの流れについていくと、先程から追い回して来ていた人がどんどん遠くに離れてくる。

一昔前の雰囲気。金魚掬いと綿菓子屋が目につく。オレンジ色の光が眩しいほどの賑わってるお祭り。坂道を登り切ると、軒下に人の頭よりも高い位置で連ねて飾ってあった提灯がなくなって、古風な温泉街のような道を「氷」や「ラムネ」の文字を横目に10mほど歩くと、ガードレールのある下が田んぼでいかにも田舎に通じていそうな道と、急な坂に建つ古い民家街にいく道の分かれ道に出た。ガードレールの道に行く人たちはまばらで、確認出来るだけでも、2、3人ほどしかいなかった。私は、前の親子について行くように、多数派の古い民家街に進むことにした。すると、世界が円を描くようにグニュっと一秒くらい歪んで回ったかとおもうと、場所が急に変わり、一気に人が少なくなった。まるで、駅の構内かと思うようなネズミ色の壁と天井、グレーの床、レンガが積まれた壁の縁に天井の蛍光灯の光。後を見ても、さっきまでの祭りの様子はどこへやら。そこにはガラスの分厚いドアしかなく、外は真っ暗。前を歩いていた子供が母親に

「ママ、お面とっていい?」

「ダメよ、お家に帰るまで、いつ食べられちゃうかわからないんだから。

 人間に間違われて仕舞うかもしれないでしょう?」

「はーい。」

なんだろうと思ってると、その場にいたきつね面の人が一斉にこちらを向いた。面越しに伝わってくる獣のような目の圧に一瞬身構えたが、次の瞬間、お前はここの世界の住人ではないというように、最初の改札の前に戻っていた。その時には、自分がなんの目的でそんなところに行っていたのかなんて、忘れてしまっていた。

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