第11話 熊尾井翔
「何を占いましょうか?」
「オウ。投資について占ってほしいんだけどよ。ねえちゃん、ポンジコインって知ってっか?」
「ええ、知ってますよ。半年で10倍になった後、大暴落した仮想通貨ですよね?」
そこまで知ってんのかよ。やるじゃねえか。
「そうだ。オレはポンジコインをフルレバで買って高値で売り抜けてよ、30万を2000万にしたんだ」
「それはすごいですね!」
そうだ。オレはすごい。他の奴らとはちがう。地元の
「まあな。でも次になにをやるかで悩んでんだ。ポンジコインも下がったら買うつもりだったが、下がり方がヤバすぎて手が出せねえ」
「つまり、次の有望な投資先を占ってほしいということですね?」
「ああ。株とかFXとかいろいろあるけど、なんか面白そうなのねえかな」
「わかりました」
女の目が光った気がした。紫色なんだな。
「その目、カラコンしてんのか?」
「ええ。この業界、見た目のインパクトは大事ですから」
「そうだよな。目立ってナンボだよな!」
女は水晶玉に手をかざしながらこっちを見て笑った。オイオイ、笑顔もかわいいじゃねえか! って水晶玉が光り出しやがった。どういうトリックなんだ?
「こちらに名前を書いてください」
小さな紙切れとボールペンが差しだされた。とりあえず、名前を書いて紙を返す。
「
「オウ、合ってるぜ!」
「素敵な名前ですね」
「ありがとよ。翔って名前が、これからはばたいて成り上がってビッグになるオレにピッタリだろ?」
「それもありますが、名字の熊。この漢字が、これからなにをするべきかを暗示しています」
「熊が関係あんのか?」
意味がわからねえな。たしかに熊尾井って苗字はレアだが……。
「はい。熊尾井さんはこれから、空売りで稼ぐのがいいと思いますよ」
なんで熊から空売りが出てくんだよ。ますます意味がわからねえ。この女、クスリでもキメてんのか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます