第8話

「あ! 俺も聞いた感じするなあ。確か……」


 お父さんもお母さんも何故かおしゃべりな髑髏の声に笑っていた。


 おしゃべりな髑髏はどうせ、お寺なら静かになるはずだし。

 私は特に気にしていなかった。


 でも、それは大間違いだった……。


 激しく降る雨の中。

 山間を車は走った。


 前を見るお父さんもお母さんもいつになく真剣だった。


「このままじゃ、お寺も諦めないといけないなあ」

「そうね……ああ、残念ね。精進料理って、私、食べたことないのよ」

「雨はもうすぐ小降りになるわよー。行きましょうよー」

「え。利絵何か言った?」

「ううん。なんでもないの。それにしても、私もお寺に行きたかったなあ」

 

 幸いにも、おしゃべりな髑髏の言う通り。お寺に近づくにつれ、激しい雨はしとしとと小降りになってきた。裏の駐車場に車を停めると、墓地を歩いて本堂を目指す。


「きゃはははははーー! おっもしろーーーいなああああーーー!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る