初恋と失恋

初恋は、一目惚れだった。


高校の入学式。同じクラスにいる彼女を見た時、こんな美少女がいるんだ、と思った。


彼女が友達と談笑している時、ニコッと笑った彼女に幾度となくドキッとさせられた。


彼女と、どうにかして話したいと思っていた。


でも高校で初恋した俺は、そんな時に何をすればいいか知らなかった。


そんなある日、席替えで彼女の隣になった。


嬉しくて嬉しくて飛び上がりそうになった。


でもそんなチャンスも僕は活かせなかった。


話しかけようとしたら、途端に恥ずかしくなって結局やめてしまった。


高二になって、僕は彼女と同じクラスにはならなかった。


まるで、そんなヘタレな僕を見た神様が僕に愛想を尽かしたようだった。


それでもって、彼女への想いは大きくなる一方だった。


ある朝。彼女を校舎の裏に呼び出して告白した。


もともと成功するとは思っていなかった。


でもこの想いに踏ん切りをつけたかった。


どうせ叶いっこない恋なんてするだけ無駄なんだ。


陰キャの俺に彼女の注意を引くことができるわけがなかった。


彼女は俺を見て戸惑ったように見てやがて、


―――ごめんなさい。きみのこと、ちょっとわからないから。


―――うん。ありがとう。


こう言って俺は彼女に背中を向けた。


これでいい。


これでいいんだ。


そう自分に言い聞かせた。



でも諦めきれなかった。


そこから、俺は彼女にがんばってアピールした。


学校で、顔を合わせたたびに話しかけた。


最初は戸惑った顔をしていた彼女も次第に僕に笑顔を向けてくれるようになった。



一年後。


大学入試が終わった。


その結果、俺は彼女と別の大学に行くことになった。


残念だったけど卒業式の後の謝恩会で連絡先を聞こうと思った


だけど当日。


彼女は女子とばかり話していた。


そして、少し気を抜いているうちに、彼女は帰っていた。


その時僕の初恋は、終わった。

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